「テストマーケティング」先行販売で選ばれやすい都道府県 専門家が指摘する他地域との違い

「テストマーケティング」は、新商品を市場に投入する前に、モニターに試食させて意見を集めたり、地域限定で先行販売したりする手法だ。

流通アナリストの渡辺広明氏によると、たばこや家電、お菓子、加工食品などの大きなメーカーが盛んにテストマーケティングしている地域は、静岡県と広島県だという。

東京や北海道で実施されるケースも

テストマーケティングの方法はいくつかある。なかでも地域限定でテスト販売する方法は、消費者の反応を直接確認できるため、高精度なデータを収集することができるのだという。

ではなぜ、静岡県と広島県が選ばれやすいのか。渡辺氏によると、年収や年齢構成などの面で日本の平均的なデータがとれると考えられているのだそうだ。ただし、

「しかし、東京で先行販売して反応を見たり、北海道だけで限定販売して様子を見るという場合もあります」

実施する企業としては、初めから全国展開を目指してテストマーケティングするか、テスト販売で人気が出たら全国展開するという二通りがあるとのことだ。

カルビー「じゃがりこ」の成功例

菓子メーカー・カルビーのマーケティング本部を取材した。同社は過去に静岡、新潟、長野などで多くテストマーケティングを実施してきた。特定商圏でのエリアテストを行って、宣伝や広告などのプロモーションを実施し、効果を確認して全国販売に向けた量産の体制を準備する。

特に、スーパーやコンビニエンスストアの店頭で、該当商品がどのように顧客に認知、購入されて、リピートにつながるか。「店舗でのトライアル販売を経て、お客さんに認知してもらうための広告・宣伝方法や、店頭での商品の印象は販売戦略でとても重要です」。

同社の実施例を見てみよう。ロングセラー商品となっている「じゃがりこ」のサラダとチーズだ。テストマーケティングもかねて、新潟県で1995年10月23日から販売を始め、翌96年4月1日に長野県で販売した。そこで良好な感触を得たため徐々に地域を広げ、最終的には98年1月に全国展開となった。

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