フォルクスワーゲン「ゴルフ8.5」の見どころとは?ICEを極め、おもてなしを磨き続けてきた50年を経て今、完熟す

2021年に登場したゴルフ8のフェイスリフト版(通称、8.5)が本国で発表された。ゴルフ誕生から50年を迎えた2024年に登場するゴルフ8.5はデジタル化をさらに加速させ、インフォテインメントの進化が大きなトピックとなる。今回は、その概要についてお伝えする。(MotorMagazine 2024年4月号より)

ディスプレイの視認性、操作性が向上

dddアップデートされたゴルフ8(以下、8.5)は当然ながら2ボックスの基本ボディに大きな変化はない。けれど細かく見ていくとLEDヘッドライト(高性能マトリクスヘッドライトはオプション設定)のデザインは、細長くシャープな形状となりスタイリッシュに進化した。またこのヘッドライトを繋ぐラインの中央にあるブランドエンブレムもLEDが内蔵され点灯される。

GTIでは新デザインのアルミホイールを採用することで印象を変えた。

一方、インテリアは大きな変化が起きている。全体にハードプラスチックの使用面積が少なくなり、代わりに質感の高い素材が採用された。また運転席に座ってすぐに気が付くのは、ハンドルに配されていたタッチセンサーがなくなり、クラシックなメカニカルスイッチが戻って来たことだ。

そしてセンターディスプレイはオプションの12.9インチ(スタンダードは10.4インチ)の大型画面を装備。視認性と操作性が向上している。さらに夜間では操作しづらかったエアコン操作のタッチ部分が点灯するようになり使いやすくなった。

そしてインフォテインメントのOSがアップグレードされてボイスコントロール(音声入力)のガイダンスは新たにチャットGPTのノウハウが採用されたことで認識能力と検索能力が大幅に改良された。このGPTシステムは、現在広く使われるようになったアマゾンのアレクサのように将来、車内のコントロールすべてを統括するようになる前触れだと感じる。

最大で12.9インチに拡大したセンターディスプレイが強い存在感を放つ。またハンドルの各種スイッチが物理ボタンになった。

GTIは20psパワーアップ。内外装もリファイン

搭載されるパワートレーンはとくに変化はない。115psと150psを発生するTSIエンジン、また48Vのマイルドハイブリッドを装備するeTSIエンジンにも変更は見られない。ただし、GTIの2L直4ターボエンジンの最高出力は従来の245psから265psへとパワーアップされた。

大型2本出しマフラーを従来モデル同様に採用する。

ちなみにGTIは内外装のリファインに加えて新しいデザインの軽合金ホイールを採用したり、依然としてリアのディフューザートリムから突き出した2本のエキゾーストパイプも健在である一方で、本国仕様で用意されていたMTは残念ながら廃止され、7速DSGが標準となった。

そして大きな変化と言えるのは現在日本ではラインナップのないPHEV(プラグインハイブリッド)モデルの存在である。搭載されるバッテリーの容量が19.7kWhと現行モデル(本国仕様)のおよそ2倍に増加、EV走行距離がおよそ100kmに延長され、また充電システムも50kWのDC直流急速充電が可能になるなど、電動化への橋渡し的な存在になった。

ちなみに、期待されるゴルフ8.5の日本上陸は早くても24年度末、あるいは25年にずれ込むかもしれない。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)

最大で12.9インチに拡大したセンターディスプレイが強い存在感を放つ。またハンドルの各種スイッチが物理ボタンになった。

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