【ダービー卿CT】狙い目は勝率25%超えの昇級戦組 勢い乗るレイベリング、クルゼイロドスルに好機あり

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荒れるハンデ戦だが

競馬ファンがごく自然に使っている格言のひとつに「中山芝1600mの外枠は不利」がある。はたしてそうだろうかと疑ってみる。2019年~2023年の5年間の枠番別成績をとると、勝率は1枠8.4%、2枠7.9%、7枠6.2%、8枠5.6%だ。

実力差が拮抗してくる古馬2勝クラス以上95レースに絞っても、勝率は1枠13.3%、2枠6.4%、7枠7.0%、8枠5.3%で1枠が目立ち、やはり格言通りであることがわかった。一方で4枠の勝率も11.3%と高く、真ん中にも好走ラインが生まれる。コースロス軽減の1枠、中央から内外の出方を観察できる4枠は狙いといえそうだ。

ダービー卿CTの過去10年間の枠番別勝率は1枠10.0%、2枠15.0%、5枠20.0%で7、8枠は0%。ハンデ戦で力差をならした状況では、コース取りは勝敗に大きく影響する。予想は急がず、しっかり枠順発表を待って検討したいレースだ。過去10年のデータを使用して展望する。

1番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、2番人気【1-1-2-6】勝率10.0%、複勝率40.0%と人気は少しアテにならない。とはいえ3番人気と5番人気が各2勝、4番人気3勝あたりに勝ち馬は集中しており、大波乱ばかりではない。傾向から中穴狙いが妥当で、波乱上等のハンデ戦だからと振り回せば的中から遠ざかってしまう。バランスよく攻めよう。

年齢の傾向ははっきりしており、4歳【4-3-1-29】勝率10.8%、複勝率21.6%、5歳【5-3-8-26】勝率11.9%、複勝率38.1%が中心。6歳【0-4-0-34】複勝率10.5%も決して無視はできず難しいところだが、4、5歳から手広く、年齢もバランスよく配置したいところだ。

クルゼイロドスル、レイベリングもチャンスあり

4歳は京都金杯2着セッション、昇級初戦クルゼイロドスル、レイベリングなど勢いある馬たちがそろった。対して5歳は前年勝ち馬インダストリア、東京新聞杯4着アスクコンナモンダ、小倉大賞典4着アルナシーム、東風Sを勝ったディオと、こちらも負けていない。そこに2年前の覇者6歳タイムトゥヘヴンなどベテランの実績馬も加わり、今年も間違いなく難解な一戦になる。

前走重賞組では、直近のマイル重賞・東京新聞杯は【2-2-2-18】勝率8.3%、複勝率25.0%。その5着以内【1-2-0-4】、6着以下【1-0-2-13】。素直に好走馬を評価しつつ、東京から中山にコースがかわって巻き返しそうな馬を狙うのもいい。

4着アスクコンナモンダは昇級初戦だった昨年の京成杯AHで9着。この一戦で適性は見極めにくいが、戦歴的に左回りの直線の長いコースがよさそうだ。

一方、セッションの前走京都金杯は【0-0-0-6】と相性が悪い。3着以内【0-0-0-3】と好走馬であっても結果を出せていない。京都金杯はスローペースになることが多く、京都らしい軽さを求められるため、中山マイルとの相性はよくない。ただし、今年の京都金杯はハイペースで上がり37.1。例年より親和性は高い。セッションは2走前のキャピタルS4着では、レース上がり33.2の高速決着で32.8を記録して敗れており、速い上がりが出ない中山のようなコースは悪くないだろう。我慢比べなら負けない。

また、格下が強いのも特徴のひとつ。前走オープン・L【2-4-5-44】勝率3.6%、複勝率20.0%のなかでは、東風S【2-3-3-23】勝率6.5%、複勝率25.8%に注目しよう。着順別に大きな差はなく、10着以下からの巻き返しもある。目安になるのは東風Sでの位置取りだ。逃げた馬【0-0-0-3】、先行【0-2-1-9】、中団【2-1-2-7】、後方【0-0-0-3】と、東風Sである程度流れに乗りつつ、しっかり脚を溜めた競馬が生きる。先行して抜け出したディオより中団で競馬した11着ラインベックが面白い。

今年の東風Sは序盤600m34.6、前後半800m45.9-47.5、上がり600m35.8と中山マイル特有のハイペースだった。ラインベックは半年ぶりの実戦に加え、最内枠から終始状態の悪い内側を通り、消耗してしまった。スタート直後の行きっぷりをみると、使ってよくなりそうな予感もある。

最後に前走3勝クラス【4-1-1-9】勝率26.7%、複勝率40.0%について。色々な指標が使えるが、前走1、2番人気で3勝クラスを突破した馬は【4-1-1-6】、3番人気以下で勝つと【0-0-0-3】。人気を背負って条件戦を突破した馬が狙いだ。レイベリング(戎橋S2番人気)、クルゼイロドスル(節分S1番人気)がデータに一致する。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。



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