奇跡のギターで震災風化防ぐ 山田の佐々木さん、音楽活動に力

東日本大震災のがれきから発見されたギターを見つめる佐々木健児さん

 東日本大震災の風化を防ぐためにギターを奏でる。山田町の会社員佐々木健児さん(50)は「ささきけんじ」としてシンガー・ソングライターの活動をしている。相棒は震災直後にがれきの中から見つけたフォークギター。出合いを機に20代でやめた音楽を再開し、自主制作のCDもリリースした。「時々でいいから、あの日を思い出してくれたら」。柔らかな音に乗せて人々に思いを届ける。

 「ごく普通の音だけれど、僕にとっては特別な音色に聞こえる」。ギターに優しいまなざしを向ける。自動車販売整備の仕事の傍ら、年5回ほど県内各地のライブに出演。演奏とともに13年前の経験やギターとの因縁を語っている。

 50歳の誕生日となった昨年11月6日、CD「半世紀(未来への軌跡)」(2200円)をリリース。カバー3曲を含む7曲を収録し、沿岸部の自然の美しさなどを歌った。佐々木さんは「嫌な出来事は伏せてしまうが、生きるために心のどこかに残す必要がある。もし、次に何か起こったときの助けになればいい」と願う。

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