50代、年収300万円の契約社員です。老後が不安なのですが、契約社員にも「雇用延長」はあるのでしょうか?

契約社員のメリット・デメリット

契約社員は、「雇用期間に定めがある」有期労働契約者です。短期間で特定のスキルを生かし、高い専門性を持って働ける点は大きなメリットといえます。また、契約更新時には、業績に応じて条件の見直しも期待できるでしょう。

しかしながら、契約期間の終了とともに次の仕事を探さなければならないことや、契約更新が保証されていないことは、働く側としては不安定要素となります。それに加えて、正社員に比べると福利厚生が限られている場合もあり、住宅手当や家族手当などは支給されないことも珍しくありません。

結果として、月々の手取り額が正社員よりも少なくなる可能性があります。経済的な面だけでなく、職場での立場においても、正社員に比べると不利な状況に置かれがちです。

契約社員の雇用期間と無期転換ルール

契約社員の雇用契約は最長3年以内に設定し、特定の専門職や60歳以上の労働者の場合には、最長5年まで契約を延長することが定められています(労働基準法第14条)。

さらに、継続的に契約を更新して勤務期間が合計で5年を超えた場合、労働者の希望により無期雇用契約への切り替えをします(労働契約法第18条)。この無期転換ルールは2013年に導入されたもので、契約社員の安定した雇用を促進する目的があります。

ただし、無期転換の適用は雇用主側の裁量に左右される部分も大きく、全ての契約社員がこの制度の恩恵を受けられるわけではありません。また、無期雇用といっても必ずしも正社員への登用や正社員と同待遇になるとはかぎらないので、無期転換を検討する際には注意が必要です。特に、50代となると正社員登用の可能性は低いといえるので、3年・5年が近づいたら確認しておくとよいでしょう。

契約社員と年金

契約社員も正社員と同様に、一定の基準を満たす場合には厚生年金保険の対象となります。国民年金のみの加入者に比べ、厚生年金に加入している場合、受け取れる年金額が大きくなるため、経済的な安心感を得られます。

例えば、年収300万円の契約社員として働いている人が、勤務先の厚生年金加入条件を満たした場合、厚生年金保険料は収入に応じて計算され、会社と半分ずつ負担します。保険料は給与から天引きされ、会社が国に納める形を取ります。この制度により、将来、国民年金に加えて厚生年金も受給できるようになり、老後の経済的基盤が強化されるのです。

契約社員は安定した未来につながる環境が整ってきた働き方

一般的な企業では、経済的な待遇や福利厚生などの面で正社員が最も条件がよいと考えられがちです。しかしながら、契約社員にも、雇用の延長や無期転換、厚生年金への加入など、安定した未来につながる環境が整ってきています。本記事で紹介した情報を踏まえ、現状を見直し、より安定した将来に向けた計画を立ててみると、老後の不安も解消に向かうことでしょう。

出典

e-GOV 法令検索 労働基準法
厚生労働省 都道府県労働局 はじまります。「無期転換ルール」
日本年金機構 Q 会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。
日本年金機構 厚生年金保険の保険料

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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