臓器移植大国巣くう闇市場、中国 腎臓1千万円、医師も関与

腎臓の移植手術を行う医師ら。移植を待つ患者は毎年約30万人に上る=2019年2月、中国湖南省衡陽市(共同)

 腎臓1個約50万元(約1千万円)―。世界第2の「臓器移植大国」ともいわれる中国で臓器の違法取引が絶えない。死刑囚を臓器提供者(ドナー)とする措置を2015年に停止して以降、組織的な臓器売買に絡み20件余りの実刑判決が出ていたことが判明。医師も関与していた。慢性的なドナー不足で闇市場が横行する。

 「中国の年間の臓器提供・移植数はアジア首位、世界第2位」。中国メディアは移植事業の発展ぶりを強調し「多くの患者を幸せにしている」と誇る。中国は臓器移植希望者の国際的な受け皿にもなっており、日本の海外渡航移植患者に対する昨年の調査によると、渡航先として中国は米国に次いで多かった。

 ただ国際人権団体からは臓器提供の過程の不透明さが指摘されてきた。中国の判例サイト「中国判決書網」で16年以降、闇市場での組織的な臓器売買の罪で実刑判決を受けたケースが20件以上確認された。医師が生体移植に関わるケースも複数あった。(北京共同)

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