総社・小原さん85歳 新たな挑戦 「志授業」講師 努力する人生説く

 ソフトテニスの普及・発展に尽力してきた岡山大名誉教授の小原信幸さん=総社市=が85歳の今、新たな挑戦を始めた。全国に広がっている児童生徒向けのキャリア・道徳教育「志授業」の最年長講師として、学校での出前講座をスタート。信条である「あきらめない」姿を示し、目標に向かって努力する人生の意義を説く。

 小原さんは岡山大教育学部などで体育教員を目指す学生らを教え、ソフトテニスの岡山県連盟理事長、日本連盟副会長などを歴任。今も地元クラブで子どもたちを指導している。

 志授業は、社会に貢献する人材となるための人生プランを考えてもらう内容で2008年、岐阜県の小学校で初めて開催。全国展開を図る「志授業」推進協議会(東京)が立ち上がり、14年にNPO法人「岡山立志教育支援プロジェクト」(岡山市)が発足した。

 会社経営者や教育、医療関係者らさまざまな立場の認定講師は全国に79人(岡山県24人)。最高齢の小原さんは、先に認定講師となった妻でピアノ指導者の由美子さん(83)に触発されて養成講座を受け昨年末、試験に合格。以前に一度、不合格となり断念しかけたが「いつも子どもたちに『あきらめるな』と言っているでしょ」と由美子さんに励まされ、奮起した。

 小原さんの志授業は2月から始まり、今月15日には母校の総社市立清音小で6年生クラスの教壇に立った。少年時代に大病を患い、「健康な体を」とソフトテニスに打ち込み、日本発祥の競技を国内外に広める仕事にまい進した自身の歩みを紹介。「人生はあみだくじ。スタートは変えられなくても、自分で線を加え、幸せなゴールに導ける」「大切なのはあきらめない、めげないこと。志を見つけ、未来へと歩み続けて」と呼びかけた。

 授業を終えた小原さんは「子どもたちに人生のヒントを届けたい」と意欲を語り、岡山立志教育支援プロジェクトの角田みどり理事長は「いくつになっても努力し挑戦する姿勢は、私たちにも励みになる」と話した。

 志授業 経営コンサルタントの角田識之さん=東京=が提唱。社会人講師が小中学校などで無償の出前講座を行う。講師の経験や郷土の偉人らの生き方を例に、「志」に基づいた職業や人生設計を考えさせるプログラムを用意。北海道、岐阜、愛知、大阪など11道府県で有志団体が実践し、岡山県内では延べ約500校・8千人が受講している。

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