石破氏、党総裁選へメンツ守る 鳥取県議補選、自民推薦候補が初当選 島根1区など衆院3補選前に議席死守

万歳して当選を喜ぶ山本暁子氏(右)=24日午後10時15分、鳥取市国府町宮下

 鳥取県議の辞職と失職に伴う県議会鳥取市選挙区補欠選挙(被選挙数2)が24日、投開票され、無所属新人で自民党推薦の山本暁子氏(42)が初当選した。党が「政治とカネ」を巡る問題で逆風を受ける中、4月の島根1区など衆院3補選を前に議席を死守。支援に注力した石破茂元党幹事長(衆院鳥取1区)は意欲をにじませる9月の党総裁選に向けてメンツを守った。

 鳥取市国府町宮下の事務所に支持者約60人が集まり、開票の行方を見守った。当選確実の報が伝わると、会場は拍手と歓声が響き、山本氏は「皆さんの期待に応えるためのスタート地点にやっと立てた。私の戦いはこれから。一生懸命、鳥取のために力を尽くしたい」と気を引き締めた。石破氏は「皆さんのおかげでトップ当選できた。党派問わずに支援いただき、ありがたい」と感謝した。

 自民が派閥の政治資金パーティー裏金事件で揺れる中、石破氏は「極めて厳しい」と危機感を隠さず、9日間の選挙戦のうち5日間地元入りし、街頭などで支援を呼びかけた。党県連所属の市議らも支持固めを図った。山本氏は、猟師でITエンジニアという異色の経歴を生かし、IT活用の推進や農林水産業の振興を訴えた。

 共同通信社の今月の世論調査で、内閣支持率が20.1%と岸田内閣として過去最低を更新し、石破氏は次期総裁候補で最も高い22.2%の支持を集めた。2月に石破氏は取材に対し、地元の支えに感謝しつつ「期待がある以上、お応えはしたい」と立候補に意欲をにじませ、県連幹部は県議補選を「石破氏のメンツに懸けて絶対に譲れない戦い」と位置付けていた。

 補選には、山本氏のほか、日本維新の会新人で元鳥取市議の玉木裕一氏(46)、無所属新人で連合鳥取組織アドバイザーの吉田正氏(65)=立憲民主、国民民主両党、社民党県連推薦=が立候補。2議席を巡って激しい選挙戦を繰り広げ、山本氏と玉木氏が初当選した。

 鳥取市選挙区を巡っては、詐欺罪などで有罪判決を受けた無所属の議員が昨年8月に辞職し、公選法違反(寄付行為)の罪で罰金刑を受けた別の議員が今年2月に刑が確定して公民権停止となり、議員失職。欠員2となり補選が決まった。県議補選は22年ぶりで、同選挙区では46年ぶりだった。

© 山陰中央新報社