【課題山積】満身創痍の投手陣に観客数は500人台に減少…勝てない新球団・くふうハヤテが歩む道 先発陣の奮闘が光る

66年ぶりに誕生したプロ野球新球団・くふうハヤテベンチャーズ静岡が開幕から6試合で1分5敗と苦しいスタートとなり、観客数の落ち込みも激しくなっている。

15日のオリックスとの開幕戦は侍ジャパン・宮城大弥が登板すると事前にスポーツ紙で報じられたこともあり、本拠地・ちゅ~るスタジアム清水には1600人が駆け付けた。一方、土日の休日は静岡市が4000~5000人を見込んでいた中で実際は1300人にとどまり、試合もオリックス相手に3連敗。ソフトバンクとの3連戦では、19日は524人、21日は556人と平日の観客数は500人台にまで落ち込んでいる状況で、JR清水駅から順次運航している無料のシャトルバスは21日の試合前の最終便の利用者はたった1人だった。

そして肝心の試合内容にいたってはもっと悲惨な展開となった。くふうハヤテは助っ人外国人の先発・モラが1回から押し出し四球を含む5つの四球を与える大乱調、いきなり4失点したが赤堀監督は続投を決断。結果、3イニングを投げて10四球1死球と被安打3ながら9失点を喫した。赤堀元之監督は「モラには5、6回投げてほしかった」と話し、大差がついた試合でモラのあとを3イニングずつ投げた竹内と平間に対しては「負担をかけてしまい、申し訳ないことをした」と肩を落とした。

くしくも同じ21日、ドジャース山本由伸がメジャーリーグでは1回5失点で降板したが、くふうハヤテはモラを3回まで引っ張らざるを得なかった事情がある。くふうハヤテは19人の投手が在籍しているが、複数の故障者を抱えている。昨季限りでDeNAを戦力外となった左腕・池谷蒼大は年末にひじにメスを入れ4月以降の復帰をめざす。そのほか、ソフトバンクなどでNPB計337試合登板の経験がある39歳の藤岡好明もまだマウンドに立てていない。NPB経験がない早稲田大学出身の東海林や山田、野口も同じだ。すでにNPBデビューを飾った投手の中では、昨季までBC茨城に所属し抑え候補だった村上航は初勝利間近だった16日のオリックス戦の9回、2点リードでマウンドに上がるも1アウトも取れずに4四球7失点と大炎上。翌日も炎上するとソフトバンク3連戦では最後まで登板機会がないなど新たな課題も出てきている。現状、先発投手を6人で回しているが、モラの大炎上で中継ぎ陣からの昇格を視野に入るが、赤堀元之監督は「モラにはもう一度先発のチャンスを与える。次までに試合を作れるようにしたい」と絞り出すのがやっとという自転車操業状態だ。緊急補強に関しても「現実的ではない」とし、当分はいまある戦力で戦わなくてはならない。

そうした中、奮闘しているのが先発投手陣。オリックス戦で5回2失点だった独立リーグ出身の二宮衣沙貴をはじめ、地元静岡出身の野村裕樹はソフトバンク相手に6回3失点など結果を出している若者もいる。ここまでは、先発投手が試合を作りながらも終盤に中継ぎ陣が崩れ、勝ちを逃し続けているケースが多く、けが人の復帰はもちろん、他球団からのレンタルなども検討しなければ約140試合の長いシーズンを戦い抜くのことは難しそうだ。

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