金沢の「聖地」から飛躍 尊富士と大の里 大学時代にも対戦

尊富士(左から2人目)と大の里(同3人目)の直接対決が実現した全日本大学選抜相撲金沢大会の表彰式。準決勝で大の里に勝った尊富士は準優勝だった=2019年7月、金沢市の石川県卯辰山相撲場

  ●大学時代に卯辰山決戦

 尊富士(本名・石岡弥輝也(みきや)、鳥取城北高OB)と大の里(本名・中村泰輝(だいき)、海洋高OB)は、アマチュア時代に何度も金沢市の県卯辰山相撲場の土俵を踏んでいる。高校相撲金沢大会(北國新聞社主催)で尊富士は団体準優勝、大の里は個人3位の最高成績を残し、大学時代は直接対決している。石川の「聖地」から羽ばたいた2人がプロの世界で紡ぐライバル物語から目が離せない。(運動部長・杉山圭一郎)

 直接対決は2019年7月の第9回全日本大学選抜相撲金沢大会(北國新聞社主催)だった。準決勝で顔を合わせ、当時日大2年の尊富士が日体大1年の大の里を突き落としで破った。

 2人は今場所、プロの土俵で初対決したが、高校大学時代は2勝2敗。5年前の金沢決戦は尊富士にとって、大学時代の最高成績(準優勝)を記録した思い出の大会となった。

 尊富士は12年の百万石まつり奉賛親善少年大会で卯辰山の土俵を踏み、中学1年の部で3位。鳥取城北高時代は能美市出身の石浦外喜義総監督の指導を受け、高校相撲金沢大会は1年時に団体ベスト8、2年時は第100回大会の団体準決勝で足を負傷し、決勝は欠場でチームは準優勝に終わった。

 大の里は津幡小卒業後に新潟への「相撲留学」を決意し、能生中、海洋高で鍛え、第102回高校相撲金沢大会では個人3位。「小学生のころ父に連れられて観戦して以来、卯辰山の土俵に憧れていた。金沢大会に出た時の感動は忘れない」と振り返る。

 大の里は日体大で2年連続アマチュア横綱の称号を手にし、昨年夏場所に幕下10枚目格付け出しでデビューした。一方の尊富士は前相撲からスタートし、序ノ口、序二段、三段目、幕下、十両と順調に番付を上げてきた。

  ●「大尊時代」遠くない

 かつて輪島(七尾市出身)と北の湖のライバル対決は「輪湖(りんこ)時代」と呼ばれ、昭和の大相撲ファンを沸かせた。ざんばら髪の大の里と、ちょんまげの尊富士。出世に髪が追いつかない強さは本物だ。令和に「大尊(たいそん)時代」が来る日はそう遠くないのかもしれない。

© 株式会社北國新聞社