熊谷組/独自微細藻類株を発見・屋外大量培養に成功、医薬・健康・食分野で実用化を

熊谷組は22日、資源循環・持続可能性に着目した新規事業分野への挑戦として、バイオマス生産性の高い独自藻類株を発見したと発表した。数リットル規模から段階的に生産評価試験を重ね、事業化へのハードルが最も高い数トン規模の屋外大量培養に成功した。今後は医薬・健康分野や食分野をターゲットに実用化に向けた実証実験を継続していく。
光合成で増殖する藻類の二酸化炭素(CO2)固定量は陸上植物と同量(年間約1000億トン)と言われ、藻類関連の研究は世界でも注目が集まる。光合成による生成物は各産業の原料に利用され▽医薬・健康分野(レッドバイオ)▽食分野(グリーンバイオ)▽エネルギー・科学分野(ホワイトバイオ)-の3分野が市場規模トップ3を占める。
同社は高いポテンシャルを秘めた藻類を軸とする資源循環型ビジネスを最終目標に掲げ、培養効率向上を目指した流体力学的な研究、CO2固定能の高い微細藻類の探索に努めてきた。
藻類を使ったバイオマス生産は藻類株の選定がポイントになる。同社は機能性など知見の豊富さに利点がある半面、知的財産権に関わる制約条件などが多い商業化済みの藻類株ではなく、独自株の単離培養に着目。さまざまな研究を重ねてきた結果、事業化へのハードルが高い大規模培養が可能で、高いバイオマス生産性を備えた藻類株の単離培養に成功した。
商業化済みの微細藻類で報告されている大規模培養時のバイオマス生産性を超えることを、数トン規模の屋外大量培養試験で実証した。現在は培養の技術開発に合わせ機能性評価を実施中。グリーンバイオ分野やレッドバイオ分野への展開が期待できる有用物質の含有が判明したため、早期の実用化を目指す。

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