鉄道運輸機構/地域鉄道の防災力強化へ鉄道事業者にノウハウ提供、建設業団体とも協定

鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、地域鉄道の防災力を高めるため新たな取り組みを始める。初弾として、北陸新幹線の金沢~敦賀間の開業でJR西日本から経営が分離される並行在来線の運用を支援。新たに経営を担う第三セクターと包括的連携協定を結び、施設の維持管理や耐震化を技術的に支援する。災害時の復旧工事を円滑に進めるため、4、5月に主要建設業団体と協定を結ぶ考えだ。
16日に北陸新幹線金沢~敦賀間が延伸開業したのに伴い、在来線(北陸線)の経営主体がJR西から第三セクター鉄道に移される。石川県内の金沢~大聖寺間46・4キロメートルは、金沢~倶利伽羅間の旧北陸線を引き継いだ第三セクターの「IRいしかわ鉄道」、福井県内の敦賀~大聖寺間84・3キロメートルは新たに発足した「ハピラインふくい」が担うことになる。
同路線は貨物列車も走るため、災害時には重要な物流経路となる。新たに管理を担う第三セクターが施設の維持管理や防災力の強化を円滑に進められるよう、鉄道運輸機構が技術的な支援を行う。26日に包括的連携協定を結び、取り組みをスタートさせる。
具体的には鉄道運輸機構が鉄道施設に関する技術的な相談を受け付け、保全や耐震化などのノウハウを提供する。各社の要請に応じ同機構が調査や設計、工事などの業務を受託する項目も盛り込んだ。災害発生時に円滑に対応できるよう、同機構と第三セクターの連絡体制表も共有。必要に応じて同機構が工事を受託し、迅速な復旧につなげる。
協定に関わる機構側の業務は、4月の組織改正で新設する「鉄道技術センター」が中心となって担う。本社の設計部や設備部といった技術部門を集約し、業務の効率を高める。
鉄道運輸機構が、災害への備えを目的とした協定を鉄道事業者と結ぶのは今回が初となる。同機構の担当者は「鉄道建設のノウハウを生かし、地方鉄道の災害対応にも貢献していければ」と話す。

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