日本が牽引する安全な国際的データ流通「DFFT」、その意義、そして背景とは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは、日本が提唱する“DFFT”について取り上げました。

◆日本が推し進める「DFFT」とは?

アメリカ議会下院の超党派議員団は、中国系動画投稿アプリ「TikTok」の利用を国内で禁止する法案を提出しました。この法案は、中国への情報流出の可能性が問題視されていることから、TikTokを運営する中国の企業に対し売却を求め、半年以内に応じない場合はアメリカ国内での利用禁止措置をとるとしています。

世界的に情報・データの安全性が問われるなか、日本は兼ねてからこの問題に言及。2019年のダボス会議では、当時の安倍元首相が「ビジネスや社会課題の解決に有益なデータがプライバシーやセキュリティなどの信頼を確保しながら国際的に自由に流通することを目指す」と訴えイニシアチブを握りました。データ保護に関する法制度や考え方が各国で異なることから、現在は安全なデータ流通を目指す構想「DFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)」を提唱しています。

そして、日本はこのDFFTに関してさまざまな取り組みをおこなっています。去年4月にはDFFTを具現化することに同意するデジタル技術担当大臣会合が群馬県で開かれ、その後、5月におこなわれた広島サミットでそのビジョンが策定されました。

また、今年2月には日本主催で「アジアにおけるデータガバナンス等に係る閣僚級会合」を実施。シンガポールなどアジア各国が参加し、中国の存在を念頭に置きつつ、アジア経済圏でデータをどう流通させるのか話し合われました。さらに、3月にはEU主催による「安全なデータ流通に関するハイレベルラウンドテーブル」に参加するなど、大きく報道されてはいませんがデータ流通に関しては日々更新されています。

◆「DFFT」推進の日本、世界をリードできるか

そうしたなか、キャスターの堀潤が注目するキーワードが、DFFTを具体化していくために立ち上げられた制度「IAP(Institutional Arrangement for Partnership:パートナーシップのための制度的アレンジメント)」。堀曰く、簡単に言うと受け皿を作り、そこでみんなで話し合い、ルールを作るべくできたもので、その音頭を取ったのは日本。堀は「我々もデータ流通に関してはかなり感度を高く持っておく必要がある」と視聴者に注意を促します。

株式会社トーチリレー代表取締役の神保拓也さんは、「日本はデジタル分野が遅れていると言われていたが、逆にTikTokなどの会社を国内に持たないが故に、客観的な立場で中国、アメリカ、ヨーロッパに対して立ち回れる。そういう意味では非常に面白い立場にいると思うので、ここはしっかりとリードしてもらいたい」と期待を寄せます。

一方、「なかなか難しい部分もある」との見解を示したのは、関西大学特任教授の深澤真紀さん。というのも、例えば、著作権やプライバシーなどは人権に大きく関わり、EUでは人権重視という軸があります。しかし、日本はそうした確固たる軸がないことを不安視していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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