清水礼留飛さん妙高市へ引退報告 最後に妙高で勇姿を Jr選手に「金」の夢託す

母校・妙高高原中生徒が記した応援旗を手にする清水礼留飛さん(中央左)。左は父・久之さん、中央右から幼なじみで元複合全日本選手、市役所職員の曽根原郷さん、城戸市長

スキージャンプの2014年ソチ五輪団体銅メダリストで、16日の国内大会を最後に現役引退した清水礼留飛さん(30、雪印メグミルク)が22日、郷里の妙高市役所を訪ね、引退の報告を行った。市や市民の応援に感謝の思いを示し、ジュニア選手から未来の金メダリスト誕生を願った。4月からは会社の営業職に就く。

礼留飛さんが父・久之さん(63)と共に市役所に姿を現すと、ホールに集まった職員や市民から大きな拍手が送られた。礼留飛さんは笑みを浮かべ、頭を下げながら謝意を表した。「妙高市民の方々にはオリンピックの時、それ以外でもすごく応援していただいた。妙高だからここまで成長できたと心の底から思っている」と述べた。

城戸陽二市長らに報告、対談し、市長から「いつか妙高でジュニアのために何かしていただけることが一番の願い」とジュニア指導などを託された。「ジュニアスキーの育成は基盤であり、できることがあれば協力したい」と応え、銅メダルを見せながら「本当の夢はこれよりもいい色のメダルを後輩たちが取ること。僕の新たな夢」と説明した。また「個人的な思いは最後、妙高のジャンプ台(県妙高高原赤倉シャンツェ)を飛びたい。本当の引退は妙高のジャンプ台を飛んで、ジャンプ台の上からの景色を見て終わりたい」と、最後に妙高で飛躍を見せる希望を明かした。

歓談後の報道陣のインタビューで「今後、ジャンプの成績では貢献できなくなるので、いつか会社のスキー部に違った形で戻ってこられた時に、僕にできることをこなしていけたら。(郷里で)指導やコーチングの機会を頂けるのであれば、できる範囲で協力したい」と前向きに話した。

ジュニア選手には「勇気を振り絞って一歩を踏み出すことが大事。大好きなスキージャンプを精いっぱい、一生懸命に飛んでほしい。そして、夢を、目標を持つこと。ジャンプに限らず生きていく上でも大事だと実感したので、明確な夢を持って大好きなスキージャンプを飛んでほしい」と、夢を持つことの大切さを語った。

妙高での勇姿披露は毎年出場してきた9月の妙高サマージャンプ大会の場を挙げ、試合への出場ではなく「練習も含めて飛ぶタイミングはあると思うので、地元の方に見守っていただき、家族も呼んで飛びたい」と考えを口にした。国民スポーツ大会(旧国体)などへの出場については「漠然とした思いはあるので、そういう時が来れば現役の時と同じように準備して、貢献したい。意欲はしっかりと持っている」と改めて思いを表した。

子どもの頃から間近でジャンプを見てきたという城戸市長は、市に感動と興奮を届けてくれたことへの感謝とねぎらいを示し、「スキーの妙高からメダリストが誕生した。妙高のスキー界の悲願。歴史が変わった」と最大級の賛辞を贈った。

ソチ五輪で獲得した銅メダルに触れる来庁市民と、温かく見詰める礼留飛さん(左から2人目)
大勢の職員や市民にあいさつし、庁舎を後にする礼留飛さん

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