この「9.5度」本当にMAXのくくりで合ってる?「B3 MAX ドライバー」

9.5度と10.5度の「B3 MAX ドライバー」。それぞれで重心設計を変えているという(撮影/有原裕晶)

昨秋登場した「B1ST ドライバー」、「B2HT ドライバー」に続き、4月5日に「B3 MAX ドライバー」が発売される。9.5度と10.5度でも異なる設計というのも気になるところだが、一体その性能はどんなものなのか。クラブの構造については、ギア知識が豊富なミタさんが解説。飛距離、弾道、特徴については、アスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打をし、細かく分析した。

「B1」、「B2」よりやさしい高慣性モーメント型

レーザー加工「スリップレスバイトミーリング」により、スピン量が減少するというフェース(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
ブリヂストンのドライバーだと「B1ST」や「B2HT」はどちらかといえばアスリートゴルファータイプ。「B3シリーズ」はアベレージゴルファーや、スライサー向けのカテゴリーになっています。ただし、「B1ST」「B2HT」でも高く評価されたフェースの溝(スリップレスバイトミーリング)は継承しています。

【コウタロウ】
名前も「MAX」ですし、「B1」、「B2」に比べるとヘッド形状が丸っこいですね。ことしのドライバーは「10K」が話題になっていますが、「B3 MAX」も慣性モーメントが大きそうですね。

ソールしたときの座りが良く、フェースをターゲットに真っ直ぐ向けやすい(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
「B3 MAX」の10.5度タイプは、左右慣性モーメントが約5400g・cm2で、上下左右の慣性モーメントは9300g・cm2を超えています。構造の特徴は、カーボン複合素材でモノコックボディになっていること。それによって約40グラムの余剰重量が生まれました。

【シオさん】
その40グラムはどの部分に使われたのですか?

【ミタさん】
ロフト9.5度とロフト10.5度で、40グラムの使い方や配置が違っています。9.5度はヘッド後方とヒール側にステンレスウエートを搭載していますが、10.5度はヘッド後方部にタングステンを入れています。そのあたりの違いも打って検証してみましょう。

イメージしていたより低スピン ボールスピードがMAX!

9.5度で300ヤード越えを連発。「B3 MAXドライバー、なめていました」(コウタロウ)(撮影/有原裕晶)

【コウタロウ】
まずはロフト9.5度から打ってみますね。シャフトは「スピーダーNX ブラック(60X)」にしました。ヘッドサイズは大きいですが、クセのあるタイプではないので、嫌いじゃない。打感は前作とほとんど変わらない印象ですが、数字を見たら、めちゃくちゃ飛んでいました。1発目から300ヤードオーバー。2球目は320ヤード近くも飛びました。

【ミタさん】
ヘッドスピード(以下HS)50m/s近くでも、吹け上がったりする感じはないですね。

左が9.5度のデータで、右が10.5度のデータ。コウタロウはスピン量の差が顕著に表れた

【コウタロウ】
メーカーのコンセプトとは少し違うかもしれませんが、「B3 MAX」の9.5度はバリバリのアスリートゴルファーでも使えます。スピン量はかなり少なめで、はっきり言って飛びます。逆にHSが遅いゴルファーには厳しいかも。10.5度は全く違うタイプという感じではなくて、やはりスピン量は少なめです。さらにミスヒットしたときでもボール初速が速く、ヒールヒットでも70m/sを超えていたことに驚きました。

【シオさん】
私は純正シャフトの「バンキッシュ BS40 for MAX(SR)」で打ちましたが、たしかに9.5度は決してやさしくありません。投影面積は大きく、イマドキのやさしいドライバー形状なのに、私のHS(40m/s前後)だと打球が低かった。一方の10.5度にすると中弾道くらいの高さまで上がってくれて、飛距離も出ましたね。9.5度と10.5度の違いはそこまで感じなかったですが、弾道の高さは明らかに違いました。

左が9.5度のデータで、右が10.5度のデータ。シオさんはコウタロウほどスピン量に差が出なかった

【ミタさん】
元々、スピン量が少ないシオさんが打つと、スピン量が2000回転未満になってしまったので高さが出ませんでしたね。ブリヂストン独自のフェースのミーリング構造は間違いなくスピン量を抑制する効果があると思います。

【コウタロウ】
商品説明だとやさしさが強調されていましたけど、やさしいというよりは、アスリートが十分に戦えるドライバーでしたね。

【ミタさん】
今までの高慣性モーメントドライバーは、ほとんどが深重心設計でした。しかし「B3 MAX」の9.5度は重心をやや浅めにしたことで、高慣性モーメントと低スピンを両立させています。高慣性モーメントドライバー特有のヘッドのモタツキ感がないので、シャープに振れ、HS45m/s前後のゴルファーでも十分に使えます。対して10.5度は、重心が深いので高い弾道と直進性を感じやすいと思います。それぞれの特徴を踏まえ、適正なスペックを見つけるとよいでしょう。

まとめ

高慣性モーメントヘッドとあって、安定した飛距離性能が高く評価された

■ 試打したクラブのスペック

左のシャフトはシオさんが使用した「VANQUISH BS40 for MAX、右はコウタロウが使用した「SPEEDER NX BLACK 60」

ブリヂストン B3 MAX ドライバー
●ロフト角:9.5度/10.5度 ●シャフト:SPEEDER NX BLACK 60(X)/VANQUISH BS40 for MAX(SR)

■ マイクラブ情報

シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:NSプロ レジオ フォーミュラ MB+ 55 ●硬さ:S

コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED(ベンタス ティーアール レッド) 6 ●硬さ:X

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