茂みに身を潜め1週間 父や4歳の妹、親類は殺された ルワンダ大虐殺の生存者「私たちは歴史から学び、行動しなければならない」 

ルワンダ大虐殺について講演するクロード・ムガベさん=23日、那覇市・琉球新報ホール

 1994年に起きたアフリカ・ルワンダの大虐殺の生存者で、キガリ虐殺記念館でガイドを務めるクロード・ムガベさんの講演会が23日、那覇市内であった。ムガベさんはルワンダの大虐殺のような悲劇が今も世界で繰り返されているとし「私たちは歴史から学び、行動しなければならない」と訴えた。

 94年、ルワンダではツチ人とフツ人の民族対立が激化して大虐殺が発生。100日間で約80万人の命が奪われたといわれる。もともとツチ人とフツ人は共存関係にあったが、ドイツとベルギーによる植民地政策で二つの民族が区別され、対立が深まって大虐殺につながった。

 ツチ人のムガベさんは、8歳の時に大虐殺を経験。1週間茂みに身を潜め、自身は生き延びたが、父や4歳の妹、親類が殺されたことを語った。

 虐殺の背景には、憎しみや分裂を広げるメディアの発信があったことも説明。その上で「メディアは武器になり得る可能性がある。受動的に受け取るのではなく、意図を見抜き、真実を求め、信念を貫くことが不可欠だ」と強調した。

 国全体で虐殺が行われたため加害者全てを投獄することが難しく、加害者と被害者が共存する生活が続いたルワンダ。ムガベさんは許しや和解が不可欠な状況の中で、国全体が「二度と繰り返さない」という誓いの下、平和教育を進めてきたことを説明した。

 また、第2次世界大戦を経験した沖縄と、大虐殺を経験したルワンダはどちらもゼロからの再建を余儀なくされ、似た状況にあると指摘。「沖縄が平和をうたっているように、私は世界的な規模で平和を推進する義務を果たすべきだと考えている」と自身の役割を語った。(社会部・當銘悠)

 

(写図説明)ルワンダ大虐殺について講演するクロード・ムガベさん=23日、那覇市・琉球新報ホール

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