2023年のテレビおよびコネクテッドTVデータに見る視聴トレンド VOL2 スポーツコンテンツデータ / Screens

目次

*本記事は2024年2月の情報です。

VOL1 テレビ視聴のトレンドデータ

1.WBCワールドベースボールクラシック

VOL2ではスポーツコンテンツデータをご紹介します。VOL1にて、MF1、若年層によく見られたコンテンツがスポーツであったと記載しましたが、世帯視聴率のランキングで見ても、スポーツ、特にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の人気が顕著でした。

念のためWBCについて触れておきます。

WBCとは、WBSC世界野球ソフトボール連盟が公認する野球の世界一決定戦で、第1回大会は2006年、第2回は2009年に行われました。その後は4年に1度の開催となっています。2021年については新型コロナウイルスの影響で延期され2023年に実施されました。次回は2026年に開催される予定です。

2023年の大会スポンサーは、カーネクスト、日本エクスプレスホールディングスでした。REVISIOデータを使ってWBCに焦点を当てて分析していきます。

図1は2023年の世帯視聴率番組ランキングトップ20です。WBCと関連ニュースに黄色で色付けしてみると、いかに注目が高かったのかがわかります。上位10番組中10番組が全てWBCで占有されています。10番目以降もWBC関連の3番組がランクインし、20番組中13番組がWBC試合中継、もしくはニュース報道になりました。皆さまの肌感にも合うと思いますが、いかに日本中で盛り上がったかがわかります。

<図1:2023年世帯視聴率ランキングトップ20(約9万番組中)>

2.WBCの毎分の波形

次に、毎分の波形データを使って、準決勝(日本対メキシコ)がどのシーンでよく見られていたのかを見ていきます。試合の途中までメキシコに先行されていたのが同点になり、最後にさよなら勝ちするという劇的な幕切れとなった試合でした。

<図2:WBC準決勝 日本 対 メキシコ戦 毎分注目度推移>

図2の青線が世帯視聴率の推移で、かなり高い水準で推移しております。1番下のラインが25%、高いところは35%ぐらいまであがっています。緑の線は、どのくらいテレビへ目を向けていたかというくぎづけ度を示す注目度です。最高値は村上選手が最後にさよならヒットを打ったシーンで、瞬間最高注目度77.7%を記録しました。わかりやすく言うと、テレビの前に100人いた時に、約80人が画面にくぎづけになっていたという意味です。目が離せないような試合展開で注目が集まったことがわかります。

<図3:WBC決勝 日本 対 アメリカ戦 毎分注目度推移>

図3のとおり日本とアメリカの決勝戦でも同じ毎分分析をしました。最高瞬間注目度は、大谷選手が投げて、アメリカ代表のキャプテン、トラウト選手が三振した最終シーンでした。ここで77.6%の注目度で、先程の村上選手のさよならヒットと同じレベルです。こちらも100人いたら、80人近くが画面にくぎづけになったと考えられるので、いかに注目を集めた試合だったかがわかります。

詳細分析結果はこちら

3.WBC放送中のCMの見られ方

次に、前述したスポンサー企業が面白い取り組みをしているので、データとともに検証します。

スポンサー企業はできるだけ視聴者にCMを見てもらえるように、野球素材を使ったCMを放送していました。実際にWBC野球中継の中で流れたCMの中でどのCMが最も見られていたのかランキングを見ていきます。

<図4:WBC内 CM素材別注目度ランキングトップ10>

図4のランキング上位10のうち半数にあたる5つのCMが、スポンサー企業の野球にまつわるCMでした。野球の試合と関連素材のマッチングにより、視聴者はまるで試合中継の続きを見るようにCMを見ていたのかもしれません。トップはカーネクスト、3番目、4番目、5番目はセールスフォースジャパン、コナミデジタルエンターテイメント、そしてまたカーネクストがランクインする結果でした。スポンサー企業の狙い通りの結果になったのではないでしょうか。

トップになったカーネクストのCMがどのように見られていたのかREVISIOのデータで可視化しました。図5の折れ線グラフは毎秒の波形で、実際にどのようにどのシーンで見られているのか、その推移を表しています。

<図5:カーネクスト「侍ジャパン 応援メッセージ・B」篇 15秒>

冒頭、注視が少し上がって高いところで推移しています。WBCの注目度が世の中で高かったという番組自体のもつパワーの恩恵もあって高いところからスタートできたと考えられます。その後「どんどんどん」という音声が掴みになり、高いスコアを維持できたと推測できます。

その後少し、注視が下がりましたが、11秒目あたりで一瞬の「間」がありました。この「間」で緩急がつき、視聴者の離れた目線がテレビに再度戻ったのではないでしょうか。

ここで、REVISIOの研究結果について触れさせていただきます。膨大なCMデータを分析した結果、半数近くのCMが初めから最後にかけて注視が落ちていくことが分かっています。皆さんもテレビCMを終始集中して見ることはあまりないのではないでしょうか。CMの見られ方の波形分類をした時に、図6、左上の右肩下がりになるような波形が全体の50%近くあります。

逆に、図6、右上のじりじりと注視が右上がりになるのは、視聴者の注目がどんどん集まっていくというCMです。これは希少で、全体の10%にも満たないというデータになっています。

<図6:参考:一般的なテレビCMの視られ方>

CM分析に関する詳細資料はこちらからダウンロード可能

4.ラグビーワールドカップ

ラグビーワールドカップも大変注目されました。ラグビーワールドカップは生誕200周年の2023年9月8日にフランスで開催されました。オリンピック、FIFAのサッカーワールドカップに並ぶ世界3大スポーツイベントと呼ばれており、テレビ視聴者数はなんと全世界で40億人もいるといわれているようです。

これまでハイネケンだったワールドワイドパートナーを、アジア企業としては初めてアサヒビールが務めました。このアサヒビールのラグビーに関するCM素材をご紹介します。

図1と同じランキング表ですが、図7はラグビーワールドカップ関連に色付けをした表です。WBCに比べると地上波での放送が相対的に少ない状況でした。ランクインしてる番組の数は1つ、全体で14位でしたが、世帯視聴率にすると19%と高い数字を叩き出しています。

<図7:2023年世帯視聴率ランキングトップ20(約9万番組中)>

この試合の中で放送されたCMの中で、どの企業CMが視聴者に注目を浴びたかを図8のランキングにしました。

トップ10のうち、約半数の4素材がスポンサー企業のラグビーを使ったCMでした。先ほどのWBCと同じ結果です。視聴者は、あたかも試合の続きをみるような形でCMを見ていたのではないかと思われます。

<図8:ラグビーワールドカップ内 CM素材別注目度ランキングトップ10)>

トップは大正製薬、2位にアサヒビール、6位、10位はまた大正製薬、アサヒビールのCMがランクインするという結果でした。

図9にて、大正製薬のCMを1秒ごとの波形で見ていきます。

<図9:リポビタンD「選手の想い」篇 60秒>

このCMは、60秒と長い尺です。冒頭、複数の選手たちが出てきて熱いメッセージと組み合わされるようなシーンが約20秒目ぐらいまで続きました。そのシーンが高い注視を維持していました。一般的には注視は下がっていくものですが、(図6参照)選手の熱いメッセージが視聴者に刺さり、注視がすぐに落ちなかったと推測されます。

CM中盤にかけて、注視が下がりましたが、28秒目のところから急激に注視が上がりました。B’zの曲がかかってテンポアップしたところです。ここで視聴者が惹きつけられて、注視が上がっていったのではないかと思われます。

スポーツコンテンツであるWBCとラグビーワールドカップを紹介しました。スポーツをテレビで見る価値が上がってきている点、そして若い人たちにもすごく注目されている試合の途中で、まるで試合の延長のようなCMを放送することでしっかり視聴者を惹きつけられることがわかりました。

2023年のテレビおよびコネクテッドTVデータに見る視聴トレンド ~VOL3~に続く

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2023年のテレビおよびコネクテッドTVデータに見る視聴トレンド ~VOL3~

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