2023年のテレビおよびコネクテッドTVデータに見る視聴トレンド VOL3 コネクテッドTVデータ / Screens

目次

*本記事は2024年2月の情報です。

2023年のテレビおよびコネクテッドTVデータに見る視聴トレンド ~VOL1~

2023年のテレビおよびコネクテッドTVデータに見る視聴トレンド ~VOL2~

1.コネクテッドTVの市場環境

本コラムの最終章ではコネクテッドTV(以下、CTV)データについて解説します。最初に、市場環境について説明します。図1はCTVがどのくらいの世帯、またどれだけの時間見られているのかを図示したものです。

横軸が世対数の割合で2023年の1月時点で約50%、縦軸がテレビデバイス上での視聴時間の割合でこれが約38%であることが分かっています。これらを掛け合わせると赤い四角形で約19%になります。これは全テレビデバイスの視聴時間のうち、約19%がCTVで視聴されていると解釈できます。

<図1:CTV視聴は既にテレビスクリーン視聴の2割近い>

2022年の時点では約12%でしたが、2023年にかけて7%増加し、19%まで増えました。実際の生活でも、テレビ視聴の半分ぐらいはCTVだという実感を持たれている方も多いのではないでしょうか。

<図2:CTV、視聴は特にYoutubeの視聴時間は地上波に匹敵>

VOL1にもでてきたデータです。図2の視聴時間を見ると、一番左の日本テレビが57分と1番長いですが、2番目は真ん中のYouTube ON TV で48分になっています。このデータは、CTVがかなり台頭してきていることの裏付けとなるでしょう。

しかし、視聴時間がとても伸びている一方で、広告市場においてはまだまだCTVの市場が小さいのです。

<図3:一方でTVスクリーン広告市場の2%しかしめていない>

図3は市場規模を表した図です。左側が日本市場、右側がアメリカの市場を表しています。広告市場規模と題した左側の薄いピンクのところが地上波で、赤のところがCTVです。2019年から2022年にかけて内訳の比率は伸びていますが、2022年時点でまだ1.9%で2%にも達していません。アメリカでは20%強とかなりの比率を占めていますが、日本市場においては、まだCTVの市場は小さいのです。

これらをまとめたのが図4です。

<図4:CTVにおける「リーチ・ロス」が起きている>

左側がCTVの視聴時間のシェア、つまり視聴人数のポテンシャルを表しています。CTVのポテンシャルがテレビの中で19%あるということです。右側の2%が、実際の広告市場のシェアです。ここからポテンシャルの大きさと実際の市場で大きな乖離があります。これをリーチロスと呼んでいます。19%ものポテンシャル市場に、実際は広告が2%しか投下されてない点で、まだここにはポテンシャルがあると言えます。

2.CTVに対するマーケターの動き

<図5:気づいているマーケターは、この一年でCTV予算を大きくしている>

図5は、ある業界での企業別CTV出稿料の推移を示しています。

仮にA社、B社、C社と3社あるとします。グラフでは、各社の出稿量を100とし、それぞれ1番左の2022年10月を起点に1年間にわたってどのくらい出稿量が増えたかという推移を表しています。

赤線のA社は2023年6月に792と1年以内に8倍ぐらい出稿を増やしているのに対し、青線のB社は8月が最高で393となっています。同じ業界に属する企業でも、出稿の増やし方が8倍だったり、4倍だったりと差があります。CTVの領域のデータが不足している為、各企業が競合の動向を把握しづらく、出稿の考えが各社バラバラであるといえます。

REVISIOのデータをご利用いただくと自社だけでなく、他企業の出稿の動向も分かります。

3.CTVと地上波の出稿量の差

<図6:CTV接触人数ランキングトップ30>

図6にて、地上波とCTVの出稿量の順位をランキングにしました。トップは花王、2番目はP&Gでした。地上波を見ている方なら1度はCMを見たことがあるであろう企業がトップ2でした。このように、地上波で出稿が多い企業は、CTVでも概ね出稿量が多くなっていました。しかし、もう少しランキングの下のほうになると、黄色でハイライトしたソニーミュージックレコーズ、KADOKAWA、ユニバーサルミュージックなどは地上波とCTVの出稿量に乖離があります。地上波ではあまり出稿していないのに、CTVの出稿量はかなり多くなっています。

地上波とCTVの出稿にはかなりの差が出ているので、競合の動向を地上波だけ見ていては意味がありません。CTVの出稿を増加して、市場のシェアを奪ってくるような動きもしっかりと検知し、自社の出稿戦略に生かしていただくことが重要です。

地上波とCTVのCMの見られ方に違いがあるという記事はこちらにもあります。

コネクテッドTV配信 CM注目度ランキング TOP20を発表

4.活用事例

REVISIOでは、CTV、ならびに地上波のデータを取得しています。この地上波とCTVを統合的に分析し、「テレビデバイスの最適化」という文脈でREVISIOのデータをご活用いただいている企業のひとつがKDDIです。活用事例を公開していますのでご参照ください。

地上波とCTVの黄金比率を探せ! 検証の繰り返しで見えてきたものとは?

まとめると、CTVの視聴時間は、テレビデバイスの約2割を占めるまでになってきています。一方で、まだ広告市場は小さく、全体の2%程度にとどまっています。CTVの市場規模は今後も拡大し続ける見込みで、リーチを拡大する上では有効に活用していく必要があると思われます。

すでに一部のマーケターは、思考錯誤しながら最適予算配分を明らかにしようとしています。同じような悩みを抱えてらっしゃるような企業様がいらっしゃいましたら、お問い合わせください。

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