「漁業者の苦労分かった」 極寒の夜にフノリ採り体験/洋野

夜間のフノリ採りを体験する参加者

 洋野町宿戸地区の海岸でこのほど、フノリ採りの体験会が開かれた。町内外から参加した20人が、極寒の暗闇の中でフノリ採りの面白さと大変さを実感した。

 同町では主に女性が干潮を狙って採集に従事。夜間にフノリを採って洗浄し、早朝に市場へ出荷している。体験会は町観光協会が初めて企画。協力する町漁協に打診したところ、「どうせなら地元漁業者と同じ環境で体験してほしい」と要請し、夜間に実施した。

 午後7時ごろに集合した参加者は、町漁協宿戸漁業実行部会の吹切繁部長らから注意点を説明された後、海岸に移動。雪がちらつく中、投光器やライトで照らされた岩場を慎重に歩き、フノリを手でこそいでは袋に集めた。

 袋に集めた分は荷さばき施設で洗浄して持ち帰ったほか、フノリのみそ汁も振る舞われ、凍えた体を温めながら海の幸を味わった。

 神奈川県出身の栗栖遥さん(31)旅行とボランティアで同町に滞在していた縁で参加。「採集から15分で手がかじかむほど大変だった。漁業者の苦労も分かり、いい思い出になった」と笑顔を見せた。

© 株式会社デーリー東北新聞社