「白鷺サーモン」出荷最盛期 養殖始め10年、春の名物に 姫路・家島諸島の西島沖

海上いけすで養殖される「白鷺サーモン」に餌を与える荒木良太さん=姫路市家島町、西島沖

 家島諸島(兵庫県姫路市家島町)の西島沖で養殖されたトラウトサーモン「白鷺(しらさぎ)サーモン」の出荷が最盛期を迎えている。約10年前、ご当地サーモンの県内の先駆けとして商品化されたブランド魚。今年は例年以上に健康に育ち、出荷量も順調に伸びているという。(辰巳直之)

 トラウトサーモンは、淡水魚のニジマスを海水で養殖したもの。西島沖では、海上釣り堀「水宝(すいほう)」を営む荒木栄さん(66)が25年ほど前、利用客に釣ってもらう魚の一つとして釣り堀内で養殖を始めた。2014年に商品化に取り組み、翌年春に出荷を始めた。

 海上のいけすでサーモンを育て、1匹ずつ生け締めにして出荷。新鮮さを売りに商品の知名度は高まり、京阪神を中心に四国や愛知県の飲食店、スーパーなどで取り扱われている。

 今シーズンは、鳥取県の養殖業者から仕入れた稚魚約3万匹を昨年12月から育てる。1匹当たり2~3キロの大きさに成長し、2月末に出荷を開始。5月末までに約2万匹、四十数トンを魚介卸売業者「丸魚水産」(姫路市白浜町)に納め、残りは釣り堀に放す。

 経営を引き継いだ長男良太さん(39)は「今年は特に健康に育っている。瀬戸内海の養殖サーモンの中でも一番大きく成長しているのではないか」と自負。同水産鮮魚部部長の森淳一さん(55)は「脂があっさり乗っているのが特長。出荷を始めて10年がたち、春の名物として人気が定着してきた」と話した。

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