鳥山明さんが世界のスポーツ界に与えた多大な影響、「かめはめ波」は世界共通語

Ⓒゲッティイメージズ

孫悟空好きの陸上短距離3冠のライルズ「人生に大きな影響」

急性硬膜下血腫で3月1日に亡くなった漫画家、鳥山明さん(享年68)の訃報は国内外に大きな衝撃を与え、世界中のスポーツ界からも競技の枠を超えて追悼の声が上がった。代表作の人気アニメ「ドラゴンボール」シリーズを見て育った選手も多く、世界に広がる「MANGA」の底力を改めて印象付けた形だ。

その中の一人、日本のアニメ好きで知られる陸上男子短距離の世界最速スプリンター、ノア・ライルズ(米国)はフィニッシュ後にドラゴンボールの主人公・孫悟空の必殺技「かめはめ波」を披露するのがお決まりのポーズとして有名だった。

2023年の世界陸上(ブダペスト)でウサイン・ボルト(ジャマイカ)以来となる100m、200m、4×100mリレーの3冠を達成した26歳のライルズはSNSで哀悼の意を表し、かめはめ波ポーズの写真と共に「なぜ私が違う色に髪を染めるのか不思議に思うなら、それは悟空が染めたからです。大きなレースの前に私が叫ぶ理由を疑問に思うなら、それは悟空がそうしたからです。鳥山明さんの創作が私の人生に大きな影響を与えた。あなたは想像できないほど多くのインスピレーションを与えてくれたのです。安らかに眠れ、そして何百万人もの人にインスピレーションを!」とつづっている。

ネイマールは悟空のタトゥー、久保建英のレアル・ソシエダも哀悼

孫悟空やベジータ、ピッコロなどの登場キャラクターは絶大な人気を誇り、世界中のサッカークラブからも追悼コメントが相次いで表明された。「ドラゴンボール」や「かめはめ波」はアスリートに勇気を与える「共通語」でもあったといえるだろう。

日本文化と交流が深いブラジルでは1部リーグ20クラブのうち実に半数近いクラブやブラジル・リーグが公式SNSで追悼。ブラジルのスーパースター、ネイマールも「ドラゴンボール」の大ファンで孫悟空のタトゥーを入れていている。

南米アルゼンチンでは試合前の会場で「ドラゴンボール」のテーマソングが流され、熱狂的なサポーターと哀悼の意を表す場面も。名門リーベル・プレートはSNSで「鳥山明さん(1955-2024)を偲んで、最大の元気玉」と選手たちの写真の上部に悟空の必殺技、元気玉を描いた。

日本代表の久保建英が所属するスペイン1部リーグのレアル・ソシエダでもSNSでチームカラーの衣装をまとい、片膝をつく悟空をコラージュした画像を掲載し「レッツゴー友よ、たくさんの夢とともに」とコメント。

イタリアの名門クラブACミランは「私たちは悟空のようなエネルギーいっぱいの人生に挑戦していく。ずっと愛していました。鳥山先生、安らかにお休みください」とのメッセージを寄せた。

長友は金髪でスーパーサイヤ人、NBAはコラボシューズも

サッカー日本代表に復帰した37歳のベテラン長友佑都(FC東京)は、2018年、2022年とワールドカップ(W杯)の事前合宿で鳥山明さんの代表作「ドラゴンボール」に登場する「スーパーサイヤ人」になりきろうと金髪に変えてピッチ外でもチームを大いに盛り上げ、話題を呼んだ。

米プロバスケットボールNBAのトップ選手もレブロン・ジェームズ(レイカーズ)をはじめ熱烈なファンは多い。

過去にはドラゴンボールのキャラクターをデザインに落とし込んだコラボシューズを着用した選手も。渡辺雄太が所属したこともあるサンズは鳥山明さんへの「トリビュートTシャツ」を製作して追悼した。

キックボクシングからボクシングに転向した那須川天心も自身のSNSに「オラに元気を分けてくれてありがとう ずっと心の中に居ます」と投稿。リング上で「元気玉」ポーズを取った写真とともに哀悼の意を表した。



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