【感染症ニュース】インフルエンザ全国定点報告数2週連続増加 新型コロナは6週連続減少 4月からは通常の医療体制に移行

引き続き感染対策を!

厚生労働省が令和6年3月22日に発表した令和6年第11週(3/11-17)の「インフルエンザの発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は17.26。これで2週連続増加となりました。都道府県別では北海道、山形、新潟、富山、石川で30を超えており、まだまだ警戒が必要です。

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感染症に詳しい医師は・・・

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、
「2月に入ってから患者数が減少していたインフルエンザですが、3月に入って再び増加しています。学校など子供たちの間で流行しているものと思われ、春休みに入ると再び減少していくと予測しています。しかし、去年は夏場にもインフルエンザの流行が見られ、今年に入ってからはB型が流行するなど、例年とは異なる状況が続いています。春休み明けの新学期に集団生活が始まると、再び患者数が増加に転じる可能性もゼロではないと思っています」と語っています。

新型コロナウイルス感染症は減少が続く

一方新型コロナですが、令和6年第11週(3/11-17)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は6.15。これで6週連続の減少となりました。都道府県別で見ると岩手、宮城、秋田、山形、新潟が10を超えており、東北など寒い地方で患者数が多くなっています。安井医師は「新型コロナについては減少が続いていますが、この先患者が発生しなくなるということはなく、しばらくは多くなったり少なくなったりという波が続いていくのではないかと考えています。正確に予測することは難しいのですが、去年も4月ごろを底に夏場に向けて流行がありましたので、今年も6月ごろから再び流行の波がくるかもしれません。特に高齢者の方や基礎疾患のある方、またその方達と日々接する方々は、部屋の換気を中心に、手洗いなど基本的な感染対策を引き続きおこなっていただきたいと思います」としています。

新型コロナは4月から通常の医療提供体制に移行

今年4月から、新型コロナウイルス感染症に関する特例措置が終わり、通常の医療提供体制へ完全に移行します。これにより、新型コロナワクチンの特例臨時接種(無料)も3月末で終了し、4月からは自費での接種となります。また、治療薬の薬剤費や入院医療費についても公費の負担が3月末で終了し、他の疾病と同様に医療費の自己負担割合に応じた通常の窓口負担になります。

高額な薬価が問題

しかし、問題となるのは薬価が高価なことです。軽症の患者に処方される新型コロナウイルス感染症治療薬の1治療あたりの薬価は、ベクルリー点滴静注用(レムデシビル)が約18万5千円、ラゲブリオカプセル(モルヌピラビル)が約9万4千円、パキロビッドパックが約9万9千円、ゾコーバ錠が約5万1千円となっています。3割負担の場合、一番安いゾコーバ錠でも自己負担額は1万5千円ほどになります。新型コロナウイルス感染症の治療の考え方としては、「一般的に重症化リスク因子のない軽症例の多くは自然に改善することを念頭に、対症療法で経過を見ることができる」とし、これらの治療薬投与の注意点は「高熱・強い咳症状・強い咽頭痛などの臨床症状があるものに処方を検討すること」及び「一般に重症化リスク因子のない軽症例では薬物治療は慎重に判断すべきということに留意して使用すること」とされています。安井医師は「新型コロナウイルス感染症は軽症といっても高熱・強い咳症状・強い咽頭痛が続くことがあり、ウイルス量を減らすことができる治療薬(抗ウイルス薬)で症状がやわらぐ患者さんも多いと思います。薬価が高いという問題もありますが、新型コロナが疑われる症状がある場合には、早めに医療機関を受診して、もしも感染しているのであれば医師との相談のなかで抗ウイルス薬の使用を検討されてもいいのではないかと思います」と語っています。

引用
厚生労働省:「インフルエンザの発生状況について令和6年第11週(3/11-17)、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第11週(3/11-17)」、新型コロナウイルス感染症「令和6年4月からの治療薬の費用について」、高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応(中央社会保険医療協議会総会 令和6年3月13日3)

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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