日銀1月会合、長期緩和継続の弊害に指摘も 多角的レビュー巡り

Takahiko Wada

[東京 25日 ロイター] - 日銀が1月22―23日に開催した金融政策決定会合では、四半世紀にわたる金融政策運営を振り返る「多角的レビュー」に関連して、非伝統的金融政策の効果や副作用について議論が展開されていたことが判明した。議論の中では、長期にわたる金融緩和が生産性の低い企業の存続を助けたとの指摘も出ていた。

日銀が25日、決定会合の議事要旨を公表した。

決定会合では、非伝統的金融政策について、多くの委員が「2013年の量的・質的金融緩和導入以降、経済・物価をしっかりと押し上げる方向に作用した」との見解を示した。

日銀は昨年12月に開いた多角的レビューのワークショップで、非伝統的な金融政策が実施されていない場合の物価などの推計値と実際の推移を比較することで非伝統的な金融政策の政策効果をあぶり出し、13年の量的・質的緩和導入以降、非伝統的金融政策が「デフレではない状況を作り出すことに寄与したことが示唆される」などとしていた。

ただ、1人の委員は、長期にわたる緩和が経済の成長力にプラスの影響を及ぼした可能性がある一方、「金融システムなどへの構造的な副作用を通じて、成長経路を引き下げた可能性もある」と指摘した。

複数の委員は、政策の効果と副作用の比較は「先行き正常化を進める過程で生じうるコストも勘案した上で行う必要性がある」と述べた。このうちの1人の委員は「非伝統的金融政策の各施策をひとまとめにして評価するだけではなく、個々の施策について効果と副作用を見ていくことが重要だ」と指摘した。

非伝統的な金融政策がもたらした副作用として、1人の委員は「利ざやが圧迫されるもとで、銀行はモニタリングにコストのかかるリスクテイクに消極的となり、主として不動産関連融資が伸びる構造となった」と話した。

別の1人の委員は「生産性の低いビジネスや企業の温存や、財政赤字の拡大に影響した」との意見を述べた。この意見に対し、1人の委員は低金利環境によって政府債務を拡大する余地が広がった可能性はあるが、その余地を使うかどうかは政府・国会の判断だと指摘。「当時の経済・物価情勢下で積極的な財政政策が不要だったとは限らない」と述べた。

*関連記事:物価目標実現に現実味、緩和修正の具体策を議論=1月日銀会合要旨

(和田崇彦)

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