元阪神・岩田稔さん「1型糖尿病でも何でもできる」 宇都宮で講演、逆境の野球人生語る

患者会で講演する岩田さん=24日午前、宇都宮市東宿郷2丁目

 血糖値を下げるインスリンを体内でつくれない「1型糖尿病」を抱えながらプロ野球・阪神タイガースの投手として活躍した岩田稔(いわたみのる)さん(40)が24日、宇都宮市内のホテルで特別講演した。患者ら約150人を前に、逆境を乗り越え全力で挑んだ野球人生を振り返った。

 1型糖尿病の全県的な患者会「とちぎヤングの会」のイベントの一環で実施された。

 岩田さんは大阪府出身。大阪桐蔭高から関西大に進み、2006年から阪神で16年間にわたりプレーした。

 1型糖尿病を発症したのは高校2年の時。エースとして活躍していた中での告知に「目の前が真っ暗になった」。それでも岩田さんは、同じ病気で元巨人投手などとして活躍したビル・ガリクソンさんの著書を読み、「俺にもできる」と一念発起。血糖管理の困難に負けず野球を続けた。

 生活習慣とは無関係であるにもかかわらず、病気を理由に企業の内定が取り消しになる苦汁をなめたという。「いつか見返してやりたい」と人一倍練習し、実力を付けて、プロ野球選手になる夢をかなえた。

 岩田さんは引退後、会社を立ち上げ1型糖尿病の啓発活動に取り組み、全国の患者とも交流を続ける。「1型糖尿病でも何でもできると伝えていきたい」と力を込めた。

患者会で講演する岩田さん=24日午前、宇都宮市東宿郷2丁目

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