マンホールのふた使い道は? 長崎市上下水道局で販売好評 農家で菓子店で…重くても買う理由

重そうなマンホールのふたを持ち帰る購入者=西彼長与町、長崎市西部道ノ尾流量調整池

 長崎市上下水道局が先月、購入者を募集した使用済みマンホールのふた8種類19枚が今月上旬、抽選で当たった人たちに手渡された。それぞれのマンホールのふたは、どのように使われるのか。ふと気になり、受け取りに訪れた人たちに話を聞いてみた。
 役目を終えた無数のふたが置かれた西彼長与町の長崎市西部道ノ尾流量調整池。引き渡し日の8日、最初に訪れたのは同市蚊焼町の無職、原正嗣さん(76)。第2希望だったスイセンをデザインしたふたが当選した。昨年購入したビワのふたは、色を付けて玄関前に飾っているという。「(マンホールは)何かに使えるわけじゃないが、使い道は人それぞれ」と喜んだ。
 南島原市布津町の農家、大橋弘太さん(71)はビワのふたを購入。以前、ビワを栽培していたのもあり、自宅玄関前に埋め込むつもりだ。「昨年は(抽選に)外れたから、今年は当たってうれしかった」と頬を緩めた。
 小学4年の娘が“大のマンホール好き”という諫早市飯盛町の40代女性は、当選の知らせを聞いた時、親子で飛び跳ねたという。「(娘に)影響されて、私も興味が湧いてきた。来年はどのふたがいいかな」。そう話し、ツルのふたをうれしそうに眺めた。
 長崎市平和町で菓子店を営む松尾太寛さん(40)は早速、アジサイのふたを店先に飾った。店は平和公園に近く、外国人観光客も多いエリア。「人通りも増えてきたし、マンホールのふたを見て、少しでも長崎を感じてもらいたい」と期待を寄せた。

菓子店に飾られたマンホールのふた=長崎市平和町

 同局は昨年度から、ふたの販売を開始。本年度は県内外から40件応募があった。ふたは鋳鉄製で、重さは最大約40キロ。販売価格はふたの大きさによって異なり、1個1500円から3千円。数十年間、使用されてきたものも多く、一見、使い道に困りそうだが、“ふた”を開けてみると、中には人それぞれの思いが詰まっていた。
 同局の担当、倉田佳拡さんは「今年も好評だった。今後も下水道に親しみを持ってもらいたい」と話した。2024年度も販売を予定している。

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