蒸し豆 発売から20年、65億円市場に 肉や節分豆の代替にも

発売から20年を迎えた蒸し豆の市場活性化へ向け、メーカーは商品を刷新し食シーンの拡大を図っている。

今年はマルヤナギ小倉屋が、業界初の蒸し豆を発売し20年となる。当初は認知度も低く拡売に苦心したが、10年が経つころから健康面がメディアに取り上げられるようになり、注目度が高まる。2019年には、同じく大豆を原料とする水煮豆の市場を上回った。

その後、コロナ禍で試食販売の機会が失われたこともあり踊り場を迎えたが、市場規模は約65億円に成長。シェアは約7割のマルヤナギ小倉屋と2番手のフジッコの2社で95%以上を占める。健康・簡便志向を背景に潜在需要は大きいと考えられ、各社はさらなる拡大を期待する。

マルヤナギ小倉屋は3月から、「おいしい蒸し豆」3品(蒸し大豆、蒸し黒豆、蒸しサラダ豆)を刷新。「蒸し大豆」の原料を甘みの強いトヨムスメ100%に限定することで、甘味度を約2割高めた。また、「蒸しサラダ豆」は5種類の豆の色を引き出す製法に、「蒸し黒豆」は色調安定剤の使用量を見直すなどの改善を施した。

販促面では20周年を記念し、なかやまきんに君をPR大使としポスターや動画を作成、健康訴求を強化。節分時には高齢者施設への贈呈などを実施し、節分豆の代替としての提案にも注力する。同社では「約300種類の蒸し豆を使ったオリジナルレシピを持っており、おかずやスイーツなどに広く使えることをアピールしたい」とする。

フジッコ「混ぜてたんぱく質プラス」

一方、フジッコは刻んだ蒸し大豆と小粒の蒸し豆の2品を「混ぜてたんぱく質プラス」シリーズとしてリニューアル。たんぱく質に加え、食物繊維とイソフラボンをパッケージで強調し、栄養面からのアピールに力を入れる。さらに蒸し豆をご飯に混ぜた画像を載せ、「調理利用だけでなく、ご飯に混ぜたりトッピングしたり、そのまま使える利便性を強調した」(コア事業本部)。

刻みタイプの蒸し豆については両社とも、ひき肉や納豆の代替として、ハンバーグやパスタなどのメニュー提案を進めている。また、肉と比較した場合のカロリーの低さや食物繊維が摂取できる点、さらに環境負荷が少ないことなどを訴求ポイントとする。

原料・コスト高という事情は、蒸し豆も他の食品分野と同様だ。だが、トライアルの喚起や価格競争を背景に、小売価格は伸び悩んでいる。今後はそれをいかに高めるかが課題となる。

© 株式会社食品新聞社