中国、政府調達のPCやサーバーで米国製チップの使用を事実上禁止

Image:Tester128/Shutterstock.com

中国は政府機関が調達するPCやサーバーにて、インテルやAMDといった米国製チップの使用を禁止する方針を打ち出したと英Financial Timesが報じている。外国産のテクノロジーを国産ソリューションに置き換えるキャンペーンの一環とのことだ。

また政府調達ガイドラインの厳格化は、マイクロソフトのWindowsや外国製のデータベースソフトにも及ぶという。こちらも国内企業の手がける選択肢を優先する動きだと伝えている。

これらは、昨年末に中国財務相と工業情報化部(MITI)が発表した新規PC、ノートPC、サーバー導入のガイドラインに沿ったもの。行政機関や共産党機関に、購入時に「安全で信頼できる」基準をメーカーとOSに課すよう命じている。

同日、中国情報技術セキュリティ評価センターはすべて中国企業に占められた「安全で信頼できる」チップとOSの初期リストを発表。承認された18のチップにはファーウェイやPhytiumが含まれているが、両社ともに米政府のエンティティリスト(米政府の許可なく米企業から部品を購入できない)に登録されている。

インテルやAMDを締め出したのは、予想外の速さだった。が、ここ最近、米政府はAIや機械学習に使われるGPUに関して輸出規制を強化していることから、中国国内でもチップの内製化が急速に進んでおり、政府レベルで動きを起こしたことも必然と言えそうだ。

米ハイテク大手にとって、中国政府の海外チップ締め出しは大きなダメージになる可能性がある。昨年、中国市場はインテルの売上高540億ドルのうち27%、AMDの売上高230億ドルのうち15%もの比率。マイクロソフトは中国での売上を公表していないが、ブラッド・スミス社長は米議会で収益の1.5%を占めていると証言していた。

インテルやAMD製チップが中国政府の承認を得ることは、不可能ではないが難しそうだ。まず公的な評価を受けるには、製品の完全な研究開発文書とコードを提出しなければならない。国家テスト機関からの通知によると、評価の最優先基準は「中国国内で設計、開発、生産が完了したレベル」とのことだ。

かたや国産チップの開発を進めているファーウェイやPhytiumにとっては、ついに大規模な需要が実現し、製品ラインアップの革新と研究開発への投資を急加速させるかもしれない。

© 株式会社 音元出版