大相撲春場所で尊富士が110年ぶりの新入幕優勝を成し遂げた24日、地元・青森県五所川原市は歓喜に沸いた。市内2カ所のパブリックビューイング(PV)会場で応援した市民たちは、「よく頑張った」「感動した」と口々に偉業をたたえ、喜び合った。
尊富士の故郷である同市金木町地区の金木総合支所では、約60人が「けっぱれ!尊富士」と書かれた応援ボードなどを手に大声援。尊富士が豪ノ山を押し倒すと総立ちとなり、万歳三唱をして祝った。
「優勝おめでとう!」の紙を掲げた同地区在住の斎藤真紀子さん(52)は「めっちゃうれしい。涙が出た。勇気と元気を私たちにくれた。金木の誇りです」と感激。中学時代、尊富士の祖父・工藤弘美さんから相撲の指導を受けたという同地区の澁谷和樹さん(46)は「金木の偉大な先輩たちが築いてきた伝統が(尊富士を)生んだのだと思う。うれしい。今は相撲をする子どもが少ないので、これを見て相撲を始める子が出てきてほしい」と語った。
連日PV会場の準備に当たってきた同総合支所の次長で、リレハンメル、長野両冬季五輪のノルディック複合に出場した古川純一さん(52)は「休場なのかなと思っていたが、出てきて、自らの力で優勝を決めたのは素晴らしいのひと言。PVで市民の皆さんと喜びを共有できて本当に良かった。これからも頑張ってほしい」とたたえた。
市役所本庁舎の会場にも市内外から約160人が詰めかけた。つがる市から来た小見山晴雄さん(75)は「けがに負けず、素晴らしい。こういう優勝の仕方は見たことはない。感動しました」と大興奮。弘前市から夫婦で訪れた前田みゆきさん(60)は「二度とない歴史的瞬間に立ち会えた。尊富士の集中力はすごい。これで青森県のほかの力士も元気になれば」と期待を込めた。母親と応援した五所川原南小2年の渋谷岳功(がく)君(8)は「勝って良かった。(盛り上がりが)すごかった」と笑顔を見せた。