古里・パキスタンの情景読んだ詩で最高賞 ザオーララハマン君(青森県・六戸小6年)

大賞に輝いたダウラット・ザイ・ザオーララハマン君(左)と指導する斗澤さん

 青森、岩手、秋田3県の小中学生のコンクール「北東北子どもの詩大賞」で、青森県六戸町の六戸小6年ダウラット・ザイ・ザオーララハマン君(11)が最高賞の大賞3作品の一つに選ばれた。初挑戦での大賞に「優しく、信頼できる先生に指導してもらって大賞を取れ、とてもうれしかった。中学校でも創作を続けたい」と話した。

 作品は昨夏、パキスタンに住む祖父母の家での様子を題材にした「ぼくの夏」。佐々木久春審査員長は「これまでの応募作品になかったような広がりを強く感じた」と総評した。

 6歳の時に家族と日本に移住したザオーララハマン君は小学5年の頃から詩の創作を始めた。思いを声に出して書き留めて作るスタイルで、指導する斗澤恵子さん(78)は「初めて見た雪の作品など日本での体験を題材にたくさん書いてきた。『ぼくの夏』は古里の風やにおいが感じられる作品になった」と評価。「中学校に行っても詩を書きに来てもいいですかと言われて感動した」と明かした。

 ザオーララハマン君は別の作品「雪」でも入賞した。コンクールは同大賞委員会が主催し、30回目。3県の小中学校から計290編の応募があり、青森県からは大賞、入賞、佳作に計26作品が選ばれた。

ぼくの夏

 どこかにぼくの宝物はないか
 たったひとつの宝物
 自分の未来
 ぼくの夢
 ぼくの家族
 パキスタンに住んでいる
 おじいさん おばあさん
 遠いぼくの国

 そこには暑い夏が
 うずをまいている
 屋根のない部屋には
 青い空だけが

 ぼくの上にかぶさってくる
 部屋のドアがバタンバタンと
 音をたてて風を呼ぶ

 風がぼくの心を
 のぞきこむ

 今 日本の夏
 未来へつづく
 ぼくの夏

© 株式会社東奥日報社