餅食文化伝え講習会300回 一関の佐藤育郎さん、伝統儀礼を紹介

一関の餅食文化を伝え続ける佐藤育郎さん

 いわて東山歴史文化振興会長の佐藤育郎さん(76)=一関市東山町=は、一関地方の餅食文化を地域内外に伝え続けている。講演や伝統儀礼を紹介する講習会は300回、受講者は1万2千人を超えた。郷土文化の伝道師として「子どもたちに知ってもらうため、休むわけにはいかない」と奮闘する。

 「喜びも、悲しみも、一関では餅とともにあります」。あんこや引き菜(雑煮)、納豆など幅広い餅料理が並んだ本膳。食べる順番や作法、その文化的な背景を分かりやすく解説する佐藤さんの魅力的な語り口に、姿勢を正した児童が引き込まれる。

 旧東山町職員で退職前、元町長の故菅原喜重郎さんから「得意な歴史を生かして、何か役に立つことをやるんだ」と言われ、文化振興会の設立に参加。着眼したのが、正月だけでなく節目や冠婚葬祭に餅を欠かさない米どころの一関地方の風習だった。

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