角田裕毅、豪州GP7位で「この3レースで一番良かった」と大満足! 専門メディアは「このポイントはチームにとってゴールドの価値」と称賛

F1第3戦のオーストラリア・グランプリは3月24日に決勝が行なわれ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は今季最高結果となる7位で初入賞を飾り、6ポイントを獲得している。

今週末は初日から好調ぶりを見せていた角田は、予選でこれも今季最高の8番グリッドを手に入れ、期待と自信をもって決勝をスタート。いきなり順位をひとつ落としたものの、世界王者たちが次々にリタイアを喫する波乱のレースの中でも安定したドライビングを見せてトップ10以内をキープする。最終周でジョージ・ラッセルのクラッシュにより8番手に浮上してチェッカーフラッグを受けると、レース後にはフェルナンド・アロンソのタイムペナルティーにより、さらにもうひとつ順位を上げることとなった。

2022年のエミリア・ロマーニャGP以来となる7位フィニッシュを飾った角田は、自身のSNSで「今年初のポイント!過去2戦悔しいレースが続いただけに嬉しいです。今週ずっとコンスタントに走れたのはチームのお陰ですし、現地に駆けつけてくださった日本の方々そしてテレビで応援してくださった方々ありがとうございました!(原文)」と、喜びとチームやファンへの感謝を示し、チームの公式サイトでも以下のようにコメントを発している。

「ついにトップ10でフィニッシュできました。チームは間違いなくそれに相応しいし、とても嬉しいです! 週末を通して非常に安定したドライビングができ、車も最初から良い感じでした。だから、あとは全てをまとめて上げてクリーンなレースをし、この厳しい中団争いでポイントを獲得するだけでした。そして今日、それを達成することができました」
「我々はミスを犯さなかったし、次のレースに自信を持って臨めるという点では、チームとしても個人としても重要な結果です。クリーンなレースといえば簡単に聞こえそうですが、過去の2レースは我々にとってフラストレーションの溜まるものでした。なので、組織としてパフォーマンスや効率性を高めた後の8位フィニッシュは、チームにとって相応しい結果です。彼らは素晴らしい仕事をしたし、チームがどんどん向上しているのが分かります」

「昨季のメルボルンでの車と、今季のそれとの違いは印象的です。我々は車の改善に多大な労力を注いだし、それは確実に実を結びました。正直なところ、他のチームもかなりペースを上げてきたので、レースはそんなに簡単ではありませんでしたが、我々のパフォーマンスとチャンスを最大限に活用できたことを嬉しく思います。そして、ジョージ(・ラッセル)が無事だったことも」

このように会心のレースを振り返った角田は、2週間後に迎えるホームグランプリにも言及。「この結果をもって日本に向かえるのは素晴らしいことで、少なくとも、日本のファンに希望を与えることができて嬉しいです。まだ日本GPでポイントを獲得したことはありませんが、車は良い状態なので、今年も挑戦します」と語り、最後に力強く意気込みを示した。

「(日本GPにも)これまでの週末同様に自分自身をリセットして臨むし、車は昨季と違って非常に安定しており、それは強みになります。個人としては、過去のレースで得た教訓を活かし、チームの役に立つため、より良い仕事をすることに集中します。今は(収集したデータを)分析し、リセットして、日本GPに向けて再び力を注ぐ時です!」 なお、F1公式サイト『F1.com』のインタビューでも、角田は「最終的に、チームは素晴らしい仕事をしてくれました。ペースはあったし、おそらく今回のレースがここまでの3レースで一番良かったと思います。今回の我々が効率的だった理由を確認し、今後のレースでもこれを維持できるようにします」と語っている。

オランダのF1専門サイト『RN365』は、「昨季と比べて、同じコーナーでも今季はより高い速度域で走行できています。昨年のオフシーズンは苦労しましたが、以降、チームは大きな仕事を果たしました。昨季終盤はほぼ全てのレースで大規模なアップグレードを施すなど、車を向上させようと努めましたが、それらの苦労は確かに報われました」と、昨季来のチームの努力に対する角田のねぎらいの言葉を紹介した。

RBはSNSに「今季初めてのポイントを獲得するための、チーム全体の素晴らしい努力」と投稿。テクニカルディレクターのジョディ・エッギントンは、「ピットでの全ての苦労、(ファクトリーのある)ビスターとファエンツァでの作業が、今日のポイント獲得で報われた。ユウキは週末を通して力強く、レースでも非常に成熟し、自信に満ちたドライビングで仕事を締めくくった。我々は満足しているし、彼自身も非常に幸せだと思う」と、満足感を示している。

また、チーム代表のローラン・メキーズも、「今日は非常にポジティブな結果を残せた。ユウキは速く、かつしっかりとコントロールされたレースを展開し、中団グループでライバルたちを上回り、シーズン初のポイントを獲得した。彼は週末を通してミスを一切犯さず、冷静さと決意を持って、セッションごとに速くなっていった」と、日本人ドライバーに賛辞を贈った。
各国メディアの反応を見ると、前出の『RN365』は「メルボルンで行なわれた昨季のレース、日本人ドライバーは間違いなくグリッド上で最悪の車を与えられていたが、この日曜日のパッケージは、はるかに競争力があった。そして彼は、今週末の初日から好調を維持し、ファエンツァを拠点とするチームでの、リーダーとしての地位を再び主張した」と綴っている。

続いて、イタリアの自動車専門サイト『MOTORIONLINE』は、「ユウキがRBにとって非常に貴重な6ポイントを獲得。上位勢のリタイアにも助けられたが、彼はレースの大部分において、ポイント圏内を維持するのに成功した。このポイントは、ファエンツァのチームにとってはゴールドの価値がある。彼は、ホームレースとなる次戦に集中している。過去に日本GPでポイントを獲得したことはないが、鈴鹿でファンの前で良い結果を残すことが、彼の目標である」と、2週間後にも期待を寄せた。

最後に、英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、「豪州GPの勝者と敗者」という記事において、角田を「勝者」に選定。「ジッダのように他チームによる“邪魔”を受けることなく、またチームのピットストップ戦略により、アンダーカットの脅威を心配する必要もなかった。上位勢のリタイアやペナルティーがなければ、入賞圏内の最後の枠(10位)を争っていたかもしれない。とはいえ、彼は印象的な2024年のスタートを切っており、今回のパフォーマンスには何の問題もなかった」と評している。

構成●THE DIGEST編集部

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