国連事務総長、ラファ検問所を訪問 即時停戦と物資搬入を改めて訴え

国連のアントニオ・グテーレス事務総長が23日、パレスチナ自治区ガザ地区南部のラファ検問所をエジプト側から訪れ、ガザでの即時停戦と、人道支援物資の「完全かつ自由な」アクセスを改めて求めた。

ラファ検問所は、ガザへの支援物資の主な入り口となっている。現在、支援物資を積んだトラックの長い列がイスラエルの承認を待っている。

イスラエルに対しては、検査によって緊急に必要な支援物資の運び入れが遅れているとして、西側諸国や支援団体が非難している。

国連側は、ガザで110万人が危機的な飢餓に苦しんでいるとしている。さらにガザ北部に関しては、5月までに人為的な飢饉(ききん)が起こりそうだとしている。

ラファ検問所で記者団を前にしたグテーレス氏は、「ガザのパレスチナ人の痛みにスポットライトを当てるため」にラファに来たと説明。「今こそガザに救命支援を殺到させる時だ。選択肢は明らかだ。(支援の)急増か飢餓かだ。支援トラックが境界のエジプト側で足止めされているのは、道徳的に到底認められない」と訴えた。

また、「ガザにいるパレスチナの人々に知ってほしい。あなたたちは孤立していない。世界中の人々が、リアルタイムで目撃している恐怖に強く憤っている。ガザのパレスチナ人たちは、止まらない悪夢から抜け出せないままだ」と述べた。

グテーレス氏は同時に、イスラエル人の人質らの解放も求めた。

グテーレス氏は、BBCのヒューゴ・バシェーガ中東特派員の取材でも、支援物資の運搬を妨げている障害を取り除くようイスラエルに改めて要求。

「これらの障害が、ガザが関係するこの戦争で遂行方法の一部になっているのは明らかだ」と述べた。

イスラエル外相が反発

グテーレス氏のこうした発信に対し、イスラエルのイスラエル・カッツ外相はX(旧ツイッター)で反発。支援物資を「略奪」しているイスラム組織ハマスの戦闘員を非難することなく、「ガザの人道状況をイスラエルのせいにした」と、グテーレス氏を批判した。

グテーレス氏はラファ検問所を訪れる前、ガザに最も近いエジプトの都市エル・アリシュで、国連の人道支援スタッフらと面会した。また、パレスチナ人の負傷者らが治療を受けている病院も訪れた。

イスラエルは、ラファではハマスの指導者らが潜伏し、ハマスの大隊がいまだ活動していると主張し、ラファでの地上作戦を計画している。同市では、ガザ住民約230万人の半数以上が避難生活を送っている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ラファでの軍事行動について、「いかなる国際的圧力も(戦争のすべての目的を達成しようとする)イスラエルを止められない」と述べている。

ガザでの戦争は、ハマスの武装集団が昨年10月7日にイスラエル南部を襲撃したことから始まった。イスラエル当局は、この襲撃で約1200人が殺害され、253人が人質にされたとしている。

一方、ハマスが運営する保健当局は、イスラエルが報復として実施している空爆と地上攻撃により、これまでにパレスチナ人3万2000人以上が殺されたとしている。

(英語記事 Israel-Gaza war: UN Secretary General Antonio Guterres in new ceasefire call

© BBCグローバルニュースジャパン株式会社