一緒にいても楽しくないと思われたり、嫌われたりしがちなのが【愚痴】【自慢話】【決めつけ】の多い人。自分がそう思われないように気をつけるのはもちろんですが、相手がそういう人の場合は、どう対応したらいいのでしょう? コミュニケーション・インストラクターの杉山美奈子さんに対処法を伺いました。
こちらもどうぞ。
【愚痴】を言われたとき、言ったときには?
愚痴はただただ聞くのが思いやりです
「いつも愚痴ばかりでは困りますが、必ずしも愚痴はよくない、というわけではないと思うんです。表面的ないいことばかり話していても、なかなか親しくなれないですよね。愚痴をこぼすことによって、相手との距離が縮まることもあるので」
愚痴を聞かされたときは、どのように応じるのがいいのだろうか。
「愚痴に対して『本当! ひどいね』などと応じれば、相手はさらに愚痴を言いたくなるし、『そんなことないんじゃない』『思い込みよ』などと否定すれば、相手は満たされない気持ちになります。肯定も否定もせず、ときどき『そうなんだ』『そうなのね』などとあいづちを打ちながら聞いてあげましょう。愚痴を聞いてもらうだけで、気持ちが少し軽くなるはずなので」
愚痴を聞いてもらったら「ありがとう」を伝える
愚痴を話せるというのは、相手に心を許す関係ともいえる。
「愚痴を言うときは、相手やその場にいる人に共通する愚痴か、というのを意識したいですね。子や孫のいない人ばかりの場で、孫やお嫁さんの愚痴を言えば気分を悪くする人がいるかもしれません。愚痴を聞いてもらったら『聞いてもらってラクになったわ。ありがとう』と、その場でもいいし別れてからメールでもいいので伝えます。『いつも愚痴ばかりですみません』では場が暗くなるので、『嬉しかった、気持ちが軽くなった、ありがとう』と感謝が伝わる言葉を使うといいですね」
Point
⚫︎愚痴を言われたら「そうなんだ」と一度受け止める⚫︎
相手はとにかく自分の思いを吐き出したいので、「そうなんだ」「そうだよね」と、まるごと受け止める。話の途中で意見を言ったり、さとしたりしても相手には伝わらないと思って。⚫︎共感したら「わかるわ、それはしんどいね」と伝える⚫︎
相手が悲観的になっているとき、辛い思いを抱えているときは、話を聞いたあと、その思いに沿って「わかるわ」「辛いよね」「頑張ったね」と伝えると、相手の気分も軽くなる。
愚痴のこんな対処法はNG!
✖️「ひどいわ、それで?」と話を広げる
話の途中で「ひどいわね」「それで?」と先を促すようなことを言うのもNG。ますます気持ちが高ぶり、愚痴が止まらなくなることも。さらっと受け止めるのも思いやり。
✖️「私だって〜」と自分の話を始める
途中で相手の話をさえぎって、「私も、同じ。こうだったのよ」と話を横取りしたり、「誰でもあることよ」とさえぎったりするのはNG。相手は、とにかく話を聞いてほしいのだから。
✖️上からアドバイスをする
「考え方を変えたらラクになるのに」とか「もっと大変な人もいる」など、相手を否定するようなアドバイスは、相手の気持ちをさらに重くすることに。相手の心に寄り添って。
【自慢話】をされたときには?
気づかないうちに自慢になっていることも!
本人は自慢話のつもりでなくても、自慢に聞こえてしまうことも少なくないので気をつけよう。
「娘にハワイ旅行に誘われちゃって。要するに私はビーチでの孫の子守役。旅行費用も自分で出すのだから損するだけなんだけどねぇ」と愚痴っぽく言っても、「娘や孫とハワイ旅行っていう自慢よね」と、思われてしまうことも。
「そんなふうに自慢されたとき、相手と親しくなりたいのであれば、『お孫さんと一緒にハワイなんていいですね』『楽しみですね』ともち上げればいいし、自慢話で嫌だなと思うときは過剰に反応せず、『そう』と軽くすませても。
親しい相手で何度も同じ自慢話をするようであれば、明るく冗談めかして『その話、この前聞いた! 次から有料ね!』と返しても。気遣いのある相手なら『ごめん!』となるのでは?」
批判的な【決めつけ】をされたときには?
マイナスイメージの決めつけは、人を傷つけると心得て
「あなたって〇〇だよね」など、批判的な決めつけをする人には、二度と会いたくない、と腹が立つことも。
「マイナスイメージの決めつけは相手を傷つけるので気をつけたいですね。逆に相手から決めつけられたら、嫌な気分になっても『そうかも』『そうね』と軽くかわすのが大人の対応です。
また、相手が悩みを話している途中で『こうしたらいいのよ』と上から目線でアドバイスする人もいますが、話は最後まで聞くことが大事。途中でさえぎられたら、満たされず寂しい気持ちになります。最後まで聞き、『大変ね。辛いよね』とねぎらいの言葉を。相手はアドバイスが欲しいのではなく、話を聞いてほしいだけかもしれません」
マイナスイメージの決めつけ言葉の言い換え例
✖️優柔不断ね
【言い換え例】→慎重すぎて迷っちゃうんだよね。
✖️服の色、暗いね
【言い換え例】→明るい色の服も似合うと思うな
✖️ちょっと雑じゃない?
【言い換え例】→時間をかければもっとよくなりそう
直接的な批判や、「あなたって〇〇ね」とマイナスイメージで決めつけるのは、相手に大きなダメージを与えることに。友達だからこそのアドバイスは、マイナスの言葉を使わずにプラスの言葉で。
第4回では、シーン別の【好かれる会話のヒント】をご紹介します。
※この記事は「ゆうゆう」2021年8月号増刊(主婦の友社)の記事を、WEB用に再編集したものです。
※2023年10月24日に配信した記事を再編集しています。
監修者
コミュニケーション・ インストラクター 杉山美奈子
すぎやま・みなこ●コミュニケーション・ インストラクター、キャリアカウンセラー。文筆業の他、大学などで話し方や聞き方など、コミュニケーション法を教える仕事も。ベストセラーの『暮らしの絵本 話し方のマナーとコツ』(学研プラス) をはじめ、気持ちの伝え方に関する著書・監修書多数。