航空石川、常総に惜敗 星稜はベスト8 選抜高校野球 

一回、ベンチ前で先発の猶明(11)らを迎える航空石川の選手たち=甲子園球場

 第96回選抜高校野球大会は25日、兵庫県西宮市の甲子園球場で1回戦が行われ、能登半島地震で輪島市の校舎が甚大な被害を受けた航空石川は春夏2度の甲子園優勝を誇る常総学院(茨城)と対戦した。惜しくも0-1で敗れたものの、全力プレーは被災地へ勇気と元気を与え、試合後はスタンドから勝者を上回る大きな拍手が送られた。

 一塁側アルプス席に「ガンバレ能登‼」の横断幕。高校球児の「聖地」には、午前9時の試合開始前から、敵も味方もなく、能登に寄り添う温かい空気が流れていた。

 航空石川は先発の左腕・猶明(ゆうめい)光絆(こうき)(2年)=氷見市出身=が五回まで無失点。六回、先頭打者を四球で出塁させてから、リズムが悪くなった。ボークで進塁を許し、1死三塁から犠飛で均衡を破られた。

 強化してきた打線は9三振を奪われた。5安打に抑え込まれて無得点。九回1死一、三塁の好機は併殺打に終わった。最少失点での悔しい敗戦となったが、守備では好プレー連発で観客を沸かせた。

 航空石川は昨秋の北信越大会準決勝で敗れ、選抜出場が厳しかった。だが、星稜の明治神宮大会優勝によって北信越の出場枠が2から3に増え、甲子園への切符が回ってきた。地震の影響で、学校のグラウンドが使用できず、野球部は系列校のある山梨で準備をしてきた。

 アルプス席では、系列校の日本航空(山梨)のほか、学校関係者の縁で近江(滋賀)の吹奏楽部が友情応援に駆けつけた。試合後、中村隆監督は「悔しい。選手はよく頑張った。勝てなかったのは監督の差」と目を潤ませたが、多くの支援と応援に「温かい気持ちになった」と感謝した。

 続く第2試合に星稜が登場し、八戸学院光星(青森)と対戦して3-2で勝利し、ベスト8進出を決めた。

試合に敗れ、アルプス応援席にあいさつする選手たち=甲子園球場

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