文化人類学者が「イエティ」「魔女」など世界の怪異を紹介 “異なる価値観”に歩み寄る方法

河出書房新社から、奥野克巳監修『世界ぐるぐる怪異紀行 どうして“わからないもの”はこわいの?』(14歳の世渡り術シリーズ)が3月25日に発売された。本書では、9名の文化人類学者が世界各国地域の調査地で見聞きした怪異を紹介する。

本書の執筆陣は、社会主義政権下のルーマニアに生まれ、川端康成『雪国』や中村勘三郎の歌舞伎などに魅せられて留学生として来日した、エッセイ『優しい地獄』でも話題の人類学者のイリナ・グリゴレや、学術的な記述に縛られない人類学のあり様を探究することで知られる文化人類学、マルチモーダル・映像人類学などを専門とする村津蘭などだ。

わからないものの代表とも言える怪異に対する各国地域の人々の接し方はどのようなものなのか。また、それら怪異の背景にはどのような意味があるのか。自分とは異なる「わからないもの」をそれとして受け入れる態度、そして自分とは異なる価値観に歩み寄っていく方法を考えることは、今の社会の大きな課題の一つだと考えられる。

本書は、異文化への知的好奇心をくすぐり、自分の世界「だと思っていたもの」に変化が起きるような1冊。怪異の謎を紐解きながら、自分の常識がみるみるうちに変化していく恐ろしくも楽しい世界へ導いてくれる本書をぜひチェックしてみよう。

(文=リアルサウンド ブック編集部)

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