育休を終えて職場復帰するママたちに、子育てとキャリアの両立を自分らしく楽しんでもらおうと、ビジネスマネジメントのエッセンスを取り入れたセミナー「育休プチMBA」が福井県福井市内で開かれた。参加したママたちは、復職後の時間制約を克服するためのマネジメントスキルを探った。
■上司の視点
「復職の壁」の乗り越え方をテーマに、福井県生活学習館で3月10日、県内で初めて開かれた育休プチMBAには市内外から9人の育休中のママたちが集まった。
育休から復帰して3カ月のママが時短勤務をする中、社内でのコミュケーション不足や子どもの病気で出社できないなどさまざまなトラブルに直面する-という事例を基にグループに分かれ問題点や解決策を議論した。
「育休前のように全部自分でやろうとしている」「社内評価が下がるのを気にする」「同僚との会話が減るのは時間に追われ態度に出ているからだ」
参加者は、当事者目線で問題点を整理した後「上司も時短勤務社員の扱い方に対するとまどいがある」「仕事の進捗がブラックボックスになって困る」「どんな仕事を任せていいか分からない」などと上司の視点で想像を膨らませ、最後にこれらの問題にどう対処していったらよいかを話し合った。
講師を務めた間宮真矢さん(42)=福井市=は「自分が使える時間が限られている中、実現したいゴールに対し『何とか実現する方法』を模索してほしい」と話し復職後の時間制約の乗り越え方が「マネジメント思考」につながるとした。
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■1万7840人受講
育休プチMBAは、育休期間を利用して復職後の仕事のこなし方に必要なマネジメント思考を学ぶ勉強会で、企業向け人材育成プログラムなどを開発するワークシフト研究所(東京)が2014年に始めた。
時間に制約のある人も組織に貢献できるようになるために、復職後に直面する壁を事例に基づいて集団でディスカッションを行い、経営者視点で物事を考えられる思考をトレーニングする。これまで全国で延べ約1万7840人が受講している。
講師を務めるのは同社が認める「育休プチMBA認定ファシリテーター」で、現在全国に約40人が活動している。間宮さんは県内唯一のファシリテーターだ。
■“あるある”
10カ月の長男をもつ母親(37)=福井市=は来月職場に復帰する。「モデルケースは自分にも起こりそうな“あるある”で、そうなる前に客観的に考えることができた。周りに迷惑かけまいと一人でやろうとしてしまうかもしれない。できることできないことを判断して周りに助けを求めたい」とためになった様子。
9歳長女と6歳長男を育てる間宮さんは18年、2人目の育休中にセミナーに参加。翌年にファシリテーター資格を取得した。「復職後に『視野が広がった』『リーダーシップが高まった』と上司や同僚から言われた」と振り返り、「子育て期にこそマネジメントを学ぶべきだと思う。セミナーを通してもっと多くのママに伝えていきたい」と話していた。
セミナーの問い合わせは問い合わせはインスタグラム(fukui.mirai.lab)で。
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