児童手当の「財源」に注目集まる。子育て世帯は負担が増える?減る?

「扶養控除」が縮小で影響があるのは?

「異次元の少子化対策」の中で最も注目の集まる「児童手当」。

2024年12月から、大きく拡充されます。

しかし、それにあわせて16~18歳の子どもの親が受けている「扶養控除」が縮小される見通しです。

「児童手当が増えて収入が増えても、扶養控除が縮小されて税金が増えれば、実質的にもらえるお金は増えるの?」と思う方は多いでしょう。

今回は、児童手当の財源についてのお話と、児童手当の拡充などについて解説します。

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注目のこども・子育て支援策の財源は?

「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、財源についても詳しい内容が伝えられました。

こども・子育て支援するための財源を確保するために、2026(令和8)年4月から「支援金制度」が創設されます。

政府による支援金の徴収は2026年4月から段階的に始まります。

2026(令和8)年度は約6000億円、2027(令和9)年度は約8000億円、2028(令和10)年度は約1兆円を集める予定です。

支援金は医療保険ごとに負担を分担する形となり、具体的な分担方法は、75歳以上の後期高齢者医療制度、74歳以下のその他の医療保険制度で分けて、医療保険料をもとに負担を割り振ることになります。

「異次元の少子化対策」の中で最も注目の「児童手当」

「異次元の少子化対策」は多岐にわたります。

その中でも、最も注目を集めている支援策の児童手当について確認しておきましょう。

現行の「児童手当」を確認しよう

「児童手当」とは、子どもを養育している保護者に対して支払われる給付金で、子どもが中学校を卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日)するまでもらえます。

現行制度での受給額は年齢ごとに以下のように決まっています。

児童手当の受給額

  • 0~3歳未満:月1万5000円
  • 3歳~小学生:月1万円(第3子以降は月1万5000円)
  • 中学生:月1万円

児童手当は、2月(10~1月分)・6月(2~5月分)・10月(6~9月分)の年3回、4か月分をまとめてもらいます。

児童手当の所得制限

また、現在は約1000万円以上の収入がある親に対して、児童手当等が支給されていません。

一番気になる!拡充後の「児童手当」はどうなるの?

今後の児童手当は「対象期間」と「第3子に対する給付金」「所得制限の撤廃」で拡充が行われます。

【対象期間】

児童手当の今までの対象期間は、中学校を卒業(15歳の誕生日後の最初の3月31日)まででした。

今後は、高校を卒業(18 歳に達する日以後の最初の3月 31 日)までになります。

【第3子に対する給付金】

現行制度では、子どもとして数える期間が高校生までのため、第1子が高校を卒業すると第3子の加算を受けられませんでした。

今後は、子どもとして数える期間を「22歳の年度末」に延長される予定です。

【所得制限】

現行は約1000万円以上の収入がある親に対して、児童手当等が支給されていませんが、今後は、所得制限が完全撤廃されます。

【拡充後の児童手当の受給額】

  • 0~3歳未満:月1万5000円
  • 3歳~小学生:月1万円
  • 中学生:月1万円
  • 高校生:月1万円
  • 第3子以降は、0~高校生卒業まで月3万円

今までは、第1子、第2子が高校を卒業すると子どものカウントから外れていましたが、22歳の年度末になるまで「こども」とカウントされます。

そのため、第3子(3万円)をもらう期間が伸びました。

【支給開始と支給回数】

2024年12月の支給分から開始になります。

その際、現行の年3回(4か月に1回)の支給が、隔月(偶数月)となり、年6回支給に変更されます。

なお、高校生(16~18歳)への児童手当が拡充されますが、それに伴い子どもの親が受けられる「扶養控除」は、所得税の控除額が現行の38万円から25万円に、住民税の控除額は33万円から12万円に引き下げとなる予定です。

「扶養控除」が縮小で影響があるのは?

扶養控除とは、子供や両親など親族を養っている場合に受けることができる所得控除です。

所得控除は、全部で14種類あり、所得からそれぞれ該当する金額を差し引いて、税金(所得税・住民税)の負担を減らすことができます。

今回のような扶養控除の縮小が影響するのは、所得が少ない人よりも多い人。

というのも、所得控除は、所得が多い人ほど効果が大きくなるものだからです。

そう考えると、児童手当で収入が増えても、扶養控除が少なくなれば、支払う税金が増えることになるかもしれません。

まとめにかえて

冒頭でお話した「子育て支援策の財源」についても、74歳以下の世代は医療保険料をもとに負担を割り振ることもあり、ここでも所得が多い人への負担が増すことになるかもしれません。

児童手当が増えても、税金などの負担が増えるかも?と思う人は、節税を心掛ける必要がありそうです。

参考資料

  • 内閣官房「「こども未来戦略」の案」
  • こども家庭庁「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案の概要」
  • 財務省「令和6年度税制改正の大綱」
  • こども家庭庁「児童手当制度のご案内」

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