ジョコビッチ衰退説をテニス界のレジェンドが一蹴!「今は束の間のプレシーズンのような状態にいるだけ」<SMASH>

元世界ランク1位で7度の四大大会優勝を誇るテニス界のレジェンド、マッツ・ビランデル氏(スウェーデン/59歳)が欧米スポーツメディア『Eurosport』の独占インタビューに登場。その中で今年に入ってから苦戦が続いている世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)に寄せられている心配の声を一蹴した。

シーズン最初の四大大会「全豪オープン」準決勝で22歳のヤニック・シナー(イタリア/大会時4位)に敗退してから、約1カ月半にわたりツアーを離れていたジョコビッチ。休養を経て参戦した「BNPパリバ・オープン」(ATP1000)では3回戦でラッキールーザー(予選敗者が繰り上がる措置)の20歳、ルカ・ナルディ(イタリア/大会時123位)にまさかの敗北を喫していた。

現在開催中の「マイアミ・オープン」(ATP1000)は「プライベートと仕事のバランスを取る」という理由で欠場。年初のユナイテッドカップ(男女混合の国別対抗戦)を含めまだ3大会にしか出場していないとはいえ、最近のジョコビッチはどこか勢いに欠けている印象だ。ファンの間では36歳となった絶対王者がモチベーションの維持に苦しんでいるのではと心配する声も多い。

しかし、それでもビランデル氏は「個人的には心配していないし、彼自身も心配していないはずだ」と強く主張する。ジョコビッチ自身が自分のことを一番よくわかっているのではないかという考えを口にした。
「ノバクは小さな大会で負けてもあまり気にしないんだ。もちろん、彼は全ての大会や試合で勝ちたいと思っているだろう。でもたいがいは、彼は自分自身をテストするために遠征に行くのだと思う。自宅や練習場所でのトレーニングの成果を確認するためにね。そして現地に着いて2、3ラウンドプレーした時に、自分が望むレベルに近づいているか、あるいはどれだけ離れているかを実感するんだ」

またビランデル氏は、全仏オープンやウインブルドンに加え、今季はパリ五輪も見据えているジョコビッチが「今は束の間のプレシーズンのような状態にいるだけ」だと解釈しており、「次の試合に間に合うことは間違いない」と断言する。「ノバクはツアーで勝ちすぎているが、これだけ多くのグランドスラムで勝ち続けることが彼のフレッシュさを保っているので、それは問題ではない」と、ジョコビッチの体力面に関する懸念を打ち消した。

全仏や五輪が行なわれるクレーコートについてもコメント。「このサーフェスがジョコビッチにとって理想的でないことは知っている。ボールが遅く、バウンドが高い。今はフィジカル面でノバクと戦える準備ができている若手もたくさんいる。でもそれら全てをノバクもわかっているから、心配していないはずだよ」と太鼓判を押した。

現時点では、4月7日から開催される「モンテカルロ・マスターズ」(モナコ・モンテカルロ/クレー/ATP1000)に出場予定のジョコビッチ。ビランデルの見立て通り、クレーシーズンでは絶対王者の再起を期待したい。

文●中村光佑

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