4年ぶり、地球ゴージャスが大阪に返り咲く「生の贅沢さ」

俳優の岸谷五朗&寺脇康文の演劇ユニット「地球ゴージャス」が、ゲストに中川大志、風間俊介、鈴木福らを迎えた新作『儚き光のラプソディ』を上演。大阪市内でおこなわれた会見では、役者と観客がひとつの空間を共有する「演劇」のかけがえなさについても、じっくりと語られた。

「地球ゴージャス」の最新作『儚き光のラプソディ』の取材会にて、(左から)岸谷五朗、風間俊介、中川大志、鈴木福、寺脇康文(3月22日・大阪市内)

地球ゴージャスはコロナ禍以降、公演がことごとく中止に追い込まれ、大阪公演は実に4年ぶり。その間に無観客公演などを経験した結果、岸谷は「我々が作ったものは60%で、お客さまに40%を埋めてもらって、それで100%になると思っていました。しかしコロナ禍を経て、実は我々の力は30%で、70%が観客の力であることを学びました」と、劇場に観客がいることの重要性を、改めて思い知ったという。

「地球ゴージャス」ではおなじみの風間俊介、初出演の20歳から20年が経ったという(3月22日・大阪市内)

さらに風間は、配信などで演劇を観る手段が増えたことを肯定しつつも「それが広がるほど、生で観ることの贅沢さが上がってきたと思います。閉塞的な生活を打開したいという方は、生の体感を感じてもらったら、きっと観る前のあなたと変わるはずなので、ぜひ(劇場に)来ていただきたい」と熱弁。

そして近年舞台出演が続く鈴木も「お客さんと同じ空間で、自分たちが感じているものを感じてもらえるという環境は、やはり生のお芝居にしかない。それは僕たちにとっても、貴重な経験です」と、演じる側にとってもライブは特別だということを補足した。

「地球ゴージャス」の舞台には初出演の鈴木福、これが10代最後の舞台となる(3月22日・大阪市内)

また、今回が2回目の舞台となる中川は「岸谷さんと寺脇さんとお食事をしたとき、ここ数年の(中止にした)大阪公演のくやしい思いや、今回の公演に賭ける思いをうかがって、より身が引き締まりました。東京から1つひとつ(公演を)つないでいって、エネルギーをいっぱい蓄えて、大阪までたどり着けたらいいなあと思います」と、2人の並々ならぬ思いを代弁。

それを受けて寺脇が、「映像は残していく芸術だけど、舞台は消えていく。でも胸にダイレクトに残る芸術だと思っていて。『(チケット代が)1万円以上って高いやん』と思うでしょうけど(笑)、観たあとに『なるほど、払ってよかった』と思っていただける自信はある。だまされたと思って観ても『だまされてなかった』と気づいていただけるはずです」と、絶対後悔させないという強い決意を語った。

岸谷五朗とともに「地球ゴージャス」を率いる寺脇康文(3月22日・大阪市内)

『儚き光のラプソディ』は、ほかに三浦涼介、佐奈宏紀、保坂知寿などが出演。岸谷は作・演出も担当する。4月の東京公演を経て、大阪公演は5月31日~6月9日に「SkyシアターMBS」(大阪市北区)にて。チケットは1万3500円で、現在発売中。

取材・文/吉永美和子

地球ゴージャス『儚き光のラプソディ』

期間:2024年5月31日(金)~6月9日(日)
会場:SkyシアターMBS(大阪市北区梅田3-2-2)
料金:1万3500円

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