対立と混乱 県新年度当初予算案をめぐって

知事が再議を申し立てるなど混乱が続く奈良県議会。大きな対立を生んだこれまでの経緯をまとめました。

対立の背景には2023年の知事選挙に日本維新の会の公認で出馬し当選した山下知事が、前知事時代の事業の廃止や見直しを進めていることがあります。焦点の一つは五條市のゴルフ場を買収した62haに及ぶ広大な県有地の利用計画です。前知事時代には、災害に備えた2000m級の滑走路を含む大規模広域防災拠点の整備を計画していましたが、山下知事は、これを見直し防災ヘリポートなどは建設する一方で、25ha以上の広さの大規模太陽光発電施設=メガソーラーを整備すると今年1月に発表したのです。

突然の計画変更に地元住民からは困惑の声が上がりました。

地元住民は―

「こういう勝手な話をされたらね。もともと3年も4年もかけて詰めてきた話が水の泡なんですよ」

山下知事

「2000メートル級の滑走路をつくるという前知事の発想自体が誤っていたと考えている」

県の新年度当初予算案にはメガソーラーも含めた非常用電源の確保を検討するための費用として約4800万円が計上されていたため、県議会の予算審査特別委員会では、最大会派、自民党・無所属の会の議員などから反対の声が相次ぎました。

自民党・無所属の会 金山成樹議員

「なんでメガソーラーなのかなという事が本当にわからないんですよ」

山下知事

「36億3000万円で買ったこの買い物。この土地を、なかなか太陽光発電以外の有効な使いみちが無いんですよ。一方で太陽光発電にはすごい需要があるんです」

10時間半に及ぶ質疑の後、賛成5、反対6の反対多数で予算案は否決。

自民党・無所属の会は、メガソーラー整備などの検討費用を削除し、新たに県全体の防災体制の基本構想をゼロベースで策定するための費用を計上した修正案を県議会に提案し、本会議での審議の行方が注目されていました。

© 奈良テレビ放送株式会社