国の天然記念物「奈良のシカ」 保護管理計画検討委員会

国の天然記念物「奈良のシカ」の保護管理のあり方を考える検討委員会が開かれ、保護をめぐるこれまでの方針を転換する考えが示されました。

この委員会は、100年後も「奈良のシカ」が変わらず奈良公園で元気に暮らしていることを目標に、保護管理のあり方を検討するものです。県や奈良市のほか、有識者や農業関係者などが出席した会議では、人とのふれあいで起きた人身事故や、観光客による餌やりの実態をはじめ、交通事故の発生状況や生息調査、防護柵の設置など、2023年度に行われた調査や取り組みが報告されました。

一方、「奈良のシカ」をめぐっては、深刻な農業被害を出したシカが鹿苑の特別柵に死ぬまで収容され、過密や栄養失調の問題も表面化しました。

会議では、特別柵の収容能力なども踏まえ、農業被害を出しながらも生け捕りしかできないC地区については管理の必要性があるとし、将来的には愛護会以外での捕獲もあり得るという選択肢を含めて議論する考えが示されました。

これは、シカの保護をめぐる方針の大きな転換を意味しており、委員会では2025年3月の計画承認に向けて新年度も議論を深めることにしています。

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