建設会社がつくるバナナ!? カフェ経営も…廃材を活用、鉄も分別 新たな雇用を生み出し「採算とれる可能性は十分にある」【SDGs】

異業種から新たにバナナの生産に乗り出した静岡県内の企業が注目されています。バナナを作り始めたのは建設会社。さらに、そのバナナを使ってカフェの経営まで始めてしまいました。

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浜名湖を臨む静岡県湖西市のカフェ「r cafe」です。バナナのスムージーやジェラートが人気です。

<ジェラートを注文した客>
「おいしい」「全体にバナナの味が広がっています」
<スムージーを注文した客>
「甘さがちょうど良くて、くどくなくて、どれだけでも飲めるような感じがします」

使っているのは「HAMANAKOりきバナナ」。湖西市で作っているバナナです。

バナナは、カフェのほど近くにあるハウスで育てられていました。1200㎡のハウスで234株のバナナを育てています。

<榊原夏雄さん>
Q.この中、暖かいですね?
「お湯がここをまわってくる。中の空気をあたためてくれる」

外からお湯をひいて、その熱でハウスの中をあたためています。バナナを育てるためにはハウスを常にあたたかくする必要があり、重油などを使うと光熱費がかさみます。

<榊原夏雄さん>
「こちら焼却炉ボイラーです」

お湯をあたためるための熱は、この焼却炉から生まれています。燃やしていたのは、大小さまざまな木片です。

<篠原建設 榊原夏雄社長>
「重油は一切使っていなくて、木材を焼却した熱だけを利用してあたためている」

ハウスを案内してくれた榊原夏雄さん。実は、建設会社の社長です。コンクリートを流し込む型枠を木材でつくっていますが、使い終わった廃材の処理に困っていたそうです。

<篠原建設 榊原夏雄社長>
「現場で型枠を組んでコンクリートを打ったら解体するんですけど、解体したらこういう風に(型枠が)返ってくるんです。200万から300万円がゴミの処理代として毎年計上されている。自分たちでお金を払って買っているのに、またお金を払って捨てなきゃいけないという非常に矛盾」

お金を払って処理するのでなく、活用する道はないのか?と模索し辿り着いたのがこの方法でした。

<篠原建設 榊原夏雄社長>
「ベニヤ材は接着剤や化学製品が入っているので、燃焼カロリーが高い。お湯が早くわきやすいメリットがある」

釘が刺さっていてもそのまま燃やしていました。

<篠原建設 榊原夏雄社長>
「クギは燃えないので灰と一緒に下に落ちるんです。かき出して、磁石にくっつけて、鉄のリサイクルに回します。結果的に一石二鳥ではないですけど(燃料として焼却すると廃材の)利活用もできるし、(鉄の)分別もできる形」

榊原社長は、バナナ栽培もカフェも軌道にのせ、新たな雇用を生み出せたら、と意気込みます。

<篠原建設 榊原夏雄社長>
「若手もこない、人手が足りないという中で、いまの若い子たちに、建設業というのもいいこと、社会のためになりますし。いろいろなことを挑戦できるポテンシャルを秘めていることを発信していきたい。それを行動と自分の背中で示していきたい」

焼却炉の熱をつかってハウスを温めるのにはもちろん、設備に費用がかかったそうですが、採算がとれる可能性は十分にあるとのことでした。

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