米新興EVフィスカー、大手自動車メーカーとの買収交渉決裂 NY上場廃止へ

[25日 ロイター] - 米新興電気自動車(EV)メーカーのフィスカーは25日、大手自動車メーカーとの買収交渉が決裂したと発表した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場する株式は「異常な低価格」を理由に上場廃止になる見通しとなった。

NYSEは、会社側の情報開示があるまで一時停止となっていた同社株の取引を停止したと発表。停止前の株価は0.09ドルで、22日の終値(0.13ドル)を下回っていた。

フィスカーは交渉決裂を受けて、自力あるいは裁判所主導の再建や資本市場取引を含む戦略的選択肢を模索していると表明。

上場廃止に伴い2026年満期の無担保転換社債(CB)を買い戻す必要が生じるが、現金保有や資金源が十分ではないため25年満期のCBでデフォルト(債務不履行)が発生する見通しだという。「そのような事態となれば当社の事業や業績、財務状態に重大な悪影響を与える可能性がある」とした。

ヘッジファンドのグレート・ヒル・キャピタルのトーマス・ヘイズ会長は、フィスカーが破産申請する可能性について「来週になるか来年になるかは予想できないが、不可避だ」と語った。

自動車デザイナーのヘンリック・フィスカー氏が2016年に立ち上げた同社は、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて上場。上場時の企業評価額は29億ドルだった。

ただ、供給網の問題や生産の遅延、資金調達の難航など問題が相次ぎ、時価総額は1億ドル未満に沈んだ。

フィスカーは交渉していた自動車メーカーの社名は明かしていない。ロイターは今月、関係筋の話として、日産自動車がフィスカーへの出資に向け協議を行っていると報じた。

フィスカーは先に、利払いの滞りを受け、CB売却で最大1億5000万ドルを調達する計画で、クロージング条件を満たすことができないとも発表した。

26年満期の社債の一部ついて840万ドルの利払い期限を今月15日に迎えたが、同社は30日の猶予期間を利用して投資家と資本構造について協議することを望んだため、十分な流動性を保有していたにもかかわらずに履行を見送った。

これとは別に、フィスカーはNYSEの上場基準への準拠を維持するため、4月24日の株主総会で株式併合案に対する投票を株主に求めるとした。

株価は年初から90%超急落。2月に「ゴーイングコンサーン(継続事業体)」に相当の疑義があると警告し、他のメーカーとの提携関係を確保するまで将来のプロジェクト向け投資を凍結すると発表している。

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