オーストラリア「太陽の大地へ」多様性認め合う 大阪・関西万博パビリオン コンセプト発表、着工へ

大阪・関西万博 オーストラリアパビリオン(完成イメージ・夕景)※Design by Buchan Holdings Pty Ltd, Render by FloorSlicer

オーストラリアは22日、大阪・関西万博のパビリオンの概要を発表した。起工式はこれに先立つ19日に行われている。
独自でパビリオンを出展する「タイプA」で、今年(2023年)10月に建物が竣工、内装を含めた完成は、開幕まで1か月となる2025年3月の予定。

【画像】大阪・関西万博 オーストラリアパビリオン

パビリオンのテーマは、オーストラリアの明るい国民性、創造性、自然の恵みを表現した「Chasing the Sun 太陽の大地へ」。

パビリオンの外観は数百種類以上ある”ユーカリ”の花と木をデザイン、オーストラリアの人々の多様性や活気をイメージしている。 ユーカリはピンクや黄、オレンジといった様々な花を咲かせるため、パビリオンを照らすライトも変化をつける。

オーストラリア国内には、海外で生まれて移り住んだ「移民」と呼ばれる人々が750万人(2020年時点)。総人口の約3割とされることから、パビリオンでは多様性を重んじて互いを認め合い、ジェンダー平等や多文化社会、先住民の人々の歴史について触れるという。

オーストラリア政府関係者は、自国を「オーストラリアの農産物は、太陽によって育まれ、太陽の光がふりそそぐ魅力的な国」と表現する。
1970(昭和45)年、大阪・千里丘陵で開かれた万博では、「太陽の塔」がシンボルだった。あれから55年。2025年の大阪・関西万博では、太陽光発電が盛んで、新エネルギー分野の世界的リーダーと自負するオーストラリアらしく「太陽」をキーワードに挙げ、エネルギー問題や脱炭素などを来場者とともに考える。

ナンシー・ゴードン政府代表はこの日の会見で、建設資材の高騰により、パビリオンのデザインについて変更を余儀なくされたことを明かした。しかし、メインの部分を守りつつ、最大限生かすとしている。

パビリオンの建設は2024年4月に本格スタートする。オーストラリアのバカン社と、大阪・関西万博で多くのパビリオンに携わる日本の日建設計(本社・東京都千代田区)による共同設計となる。

パビリオンの床面積は約2400平方メートルで、以下の4つのエリアに分かれる。

• 黄色のステージ、広場やカフェがある文化エリア
• オレンジ色のエキシビションがある来場者体験エリア
• 青色の特別イベントエリア
• 緑色のオフィスやキッチン、収納スペースがあるスタッフ専用エリア

◆東京五輪・射撃場の建築資材をリユース、万博閉幕後の活用も

建設を担当するESグローバル社は、2021年に開催された東京オリンピックの射撃場で使用された建築資材を再利用する。細長い部材同士を三角形に繋ぎ合わせた「トラス構造」に、ベールのような膜をかぶせてパビリオンを支えるという。この資材はまた、万博終了後に別の建設プロジェクトに再利用され、持続可能性を追求する。

開催中は、1 日あたり1万5千人の来場者を想定している。 ステージやカフェも設け、ステージでは、オーストラリアの舞台芸術、スポーツが楽しめる。カフェでは、”フラット・ホワイト”と呼ばれるエスプレッソベースのコーヒーなどを提供する。

特別イベントエリアには、大きな宴会場、会議室、ラウンジと屋外テラスがある。これらのスペースのインテリアは、オーストラリアの美しい自然からインスピレーションを得たという。ラウンジは、1970年大阪万博のオーストラリア館をイメージしたデザインとした。イベントエリアでは、万博開催中、戦略的ビジネスプログラムを組む予定。

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◆オーストラリアと関西、関わり深く

オーストラリアは1965(昭和40)年に大阪に領事館を置き、万博開催の2025年は60年の節目に当たる(東京・三田の大使館は1952年に設置)。

トレバー・ホロウェイ 在大阪オーストラリア総領事は、この日のプレゼンテーションで、関西の輸入相手国が、中国、アメリカ、オーストラリアの順に多く、昨年(2023年)のオーストラリアの輸入総額は1.1兆円(関西全体では18.77兆円)にのぼることや、関西の2府4県で姉妹都市・友好都市提携しているのが2府県・23市町(※)に及ぶことを示し、関西との親和性を強調した。

※大阪府・クイーンズランド州、兵庫県・西オーストラリア州、大阪市・メルボルン、神戸市・ブリスベン、姫路市・アデレード など

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