米シンクタンク「中国は米造船業の苦境に責任はない」

米シンクタンク、ケイトー研究所のホームページに18日、「中国は米造船業の苦境に責任はない」とする記事が掲載された。資料写真。

米シンクタンク、ケイトー研究所のホームページに18日、「中国は米造船業の苦境に責任はない」とする記事が掲載された。

中国メディアの環球時報が要約して伝えたところによると、記事は、全米鉄鋼労働組合などの労組が先週、米商業造船業の空洞化の原因は中国による補助金やその他の市場わい曲措置にあるとして、米政府に対し、1974年通商法301条に基づく措置を講じるよう求める請願書を提出したことに触れた。

記事は「米中間の敵意と今年が選挙年という政治的要因を考慮すると、請願のタイミングは時宜にかなっている。すでに上院議員2人が支持を表明し、ジョー・バイデン大統領と米通商代表部もSNS上でこの申請を強調している」とした上で、「しかし、この告発は偽善的で非歴史的、そして何よりも見当違いだ」と指摘した。

記事によると、請願書は、米商業造船業の数十年にわたる衰退は「一連の要因」によって説明されると認めている一方で、「2000年以降に業界が直面している逆風は主に中国との不公平な競争によるもの」と主張している。

記事は「これは無理にこじつけた歴史解釈だ」とし、「米国の造船実績は、1981年に補助金が打ち切られる前でさえ、まったく平凡なものだった。51年から81年にかけて世界の船舶納入に占める米造船所のシェアが5%を超えたのは2年だけで、フランス、スウェーデン、英国、ドイツに大差をつけられ、日本とは比べものにならないほどだった。米造船所は長年にわたって競争力が欠如し、60年以来、輸出用に建造された船舶が存在せず、注文のほとんどは競争の激しい国際市場から来ていなかった。中国が台頭するずっと前から世界の造船市場で周辺的な役割に追いやられていた。90年時点で世界の造船生産量の2.5%を担っていたにすぎない中国が国際市場で力を発揮し始めた頃には、米造船所はすでに市場から追い出されていた」と伝えた。

「中国の補助金が米造船所の運命に何らかの影響を与えてきた」という主張については、「同様に精査に耐えられない」とし、「米国で建造された外航商船のコストは、海外で建造されたものと比べて数倍高い。中国の補助金をすべて撤廃させたとしても、米造船所は国際市場から追い出されたままだろう」と伝えた。

記事によると、請願書は、造船慣行に関して中国に圧力をかけるため、中国建造船の米国寄港に新たな費用を課し、その収益を米造船業を活性化するための基金に寄付するよう求めている。この資金は、米国の既存の補助金プログラムを強化するために使用されることになる。言い換えれば、米造船業の活性化には効果がないと判明した計画に資金を提供するための事実上の関税だ。しかし、米海運会社が中国の造船所を頻繁に修理のために後援していることを労組が見て見ぬふりをしていたというのは驚くべきことだ。中国の造船所を罰することが目的であれば、そのような取り組みは関税引き上げの論理的な候補に見えるだろう。

記事は「市場の歪みをめぐって中国に対する行動を追求することは政治的に魅力的であることは間違いないが、米商業造船業の長期にわたる衰退を食い止めるのには何の役にも立たない。米造船業が国際競争に加われないのは、ここ数十年の中国の不正行為の産物ではなく、米造船会社の競争の火を消してきた極端なレベルの保護主義によるものだ。米政策立案者は補助金を投じるのではなく、まず自身の『ガラスの家』を検査すべきだ」と論じた。(翻訳・編集/柳川)

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