買い物送迎、継続求める声 採算性には課題 青森県が検証結果/八戸

関係者が無料送迎バス実証運行の成果を報告した発表会=25日、八戸市

 交通手段がなく移動困難な買い物弱者を支援する「持続可能な買い物支援サービス網構築事業」について、青森県は25日、八戸市尻内町笹ノ沢地区と新郷村を対象に実施した無料バス送迎サービスに関する実証運行の検証結果を発表した。利用者や協力店舗からはサービス継続を求める意見が多かった一方、採算性との両立が課題として浮かび上がった。

 実証運行は2023年11月から約3カ月間実施。笹ノ沢地区は、八戸駅周辺と白山台地区をそれぞれ結ぶ2路線を週1日、4往復運行。新郷村は五戸町内のスーパーやホームセンターなどを回るコースで、平日の曜日ごとに5路線を運行した。

 25日、八戸市内で開かれた発表会には、実施自治体や協力店舗の関係者ら約50人が参加した。

 報告の中で、利用者の延べ人数は笹ノ沢地区が164人、新郷村が436人で、リピーター率も両地区で90%近くに上った。

 一方で利用実績から割り出した1日当たりの輸送コストは、笹ノ沢地区が1人に付き7816円、新郷村が8200円と算出され、安定した事業継続に向けて経費を大幅に削減する工夫が必要であることが明らかとなった。

 支出の大半が車両費や運転手の人件費など固定費となっていることから、バスからタクシーへの切り替えや、新郷村に関しては村所有の車両を活用するなどの代替案が示された。

 24年度以降は各自治体が中心となり、地域住民や協力店舗と協議を重ねながら、具体的なサービス網の構築を進める。【全文】

© 株式会社デーリー東北新聞社