三重県/鳥羽河内ダム本体が起工、施工は前田建設JV

◇流域治水の要に
三重県は23日、「鳥羽河内ダム本体建設工事」の起工式を鳥羽市の加茂中学校で開いた。一見勝之知事や佐藤寿延中部地方整備局長、中村欣一郎鳥羽市長、前田建設の中西隆夫代表取締役専務執行役員技術統括兼土木事業本部長ら約60人が出席。工事の無事故・無災害と早期完成、流域の治水向上を願い鍬を入れた。施工は前田建設・水谷建設・磯部建設工業JV。
式典で一見知事は「この地域では過去、豪雨で尊い命が失われた。そのようなことを二度と起こさないためにも、鳥羽河内ダムは大きな役割を果たす。流水型で環境にも優しい」とあいさつ。
鈴木英敬衆院議員は「事業の継続決定に至る経緯などを振り返ると感慨深いものがある。一日も早く完成させ、地域の安全・安心を確保してほしい」と話した。
佐藤局長は「気候変動の影響で、過去にない洪水が発生する可能性もある。受益地に近いダムは効果が大きく、地域の治水の要となるだろう。ハード整備のメリットは完成したその日からすぐに効果を発揮すること。国土交通省も精いっぱい、県を支援する」と述べた。
中村市長は「市民の命、安全・安心な生活を守る施設となるよう期待している」と話した。
施工者を代表して中西代表取締役専務執行役員技術統括兼土木事業本部長は「責任の重さを実感している。地元の皆さんとコミュニケーションを取り、立派なダムを造り上げる」と力を込めた。
加茂川水系の治水計画の一環である鳥羽河内ダムの建設は、1975年に実施計画調査を開始した。検証を経て2013年に貯留型から流水型に変更し、事業継続が決定。調査着手から約50年を経て本体着工に至った。総事業費は約195億円。
建設地は鳥羽市河内町。大雨時、下流に流れる水を一時的に減らし洪水を防ぐ。形式は重力式コンクリートダム。堤高は39メートル、堤頂長193メートル、総貯水容量296万立方メートル。通常時は水を貯めない。
今後掘削を進め、25年度にコンクリートの打設に着手。天端工などを経て、27年度からの試験湛水を予定する。工期は28年4月28日まで。設計は日本工営が担当した。
□中島秀樹鳥羽河内ダム作業所長(前田建設)の話□
「コンクリート打設に向け、岩盤を傷めないよう配慮して掘削を進める。地元の方々と協力し、安全に気をつけて品質の良いダムを完成させる」。

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