福島県/千五沢ダム再開発事業が竣工、施工は清水建設JV

◇安全度向上へ治水機能強化
福島県が洪水被害の軽減を目的に2014年度から建設を進めてきた千五沢ダム再開発事業(石川町母畑)が25日に竣工した。かんがい目的で建設したダムに洪水調節機能を付加する県内初となるプロジェクトで、堤体積34万7000立方メートルの中央コア型アースダムにラビリンス型洪水吐きを増設。工事は清水建設・青木あすなろ建設・あおいJVが担当した。
ダムサイトで開いた竣工式には県と石川町、地元選出国会議員をはじめ足立敏之参院議員、国土交通省から小笠原憲一水管理・国土保全局次長、東北農政局の川村文洋農村振興部長、清水建設JVをはじめとする工事関係者ら80人が出席。
あいさつした佐藤宏隆福島県副知事は「浸水被害の軽減で地域の安全・安心の確保につながる。全国でも珍しいダムの形状は新たな観光資源の一つとして地域振興も期待される」と語った。このあと工事経過報告に続いて、関係者によるテープカットとくす玉開きで竣工を祝った。
阿武隈川水系北須川にある千五沢ダムは、東北農政局の国営母畑開拓建設事業のかんがい専用ダムとして1975年に完成した。堤頂長176・5メートル、総貯水容量1300万立方メートルの中央コア型アースダムとなる。農業情勢の変化で生じた空容量を治水ダムとして活用するため09年に再開事業として採択した。既存の洪水吐きの改築では、越流長が伸ばせる「ラビリンス型」の構造型式を採用した。堤体からダム湖に突き出た四つの先端部には、常用洪水吐きと呼ばれる開口部があり洪水調節が可能となる。
23年10月からの試験湛水で、ダムの安全性を確認し再開発事業が竣工した。24年度からは多目的ダムとして県が管理する。全体事業費は約145億円。

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