高速道路3社、日建連/上限規制適用で対応方針まとめ、4週8休前提に工期設定

東日本、中日本、西日本の高速道路会社3社と日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、4月に開始される時間外労働の罰則付き上限規制を踏まえた対応方針をまとめた。3社が発注する全工事で、4週8休を前提にした工期を設定。現場作業の時間とは別に準備や後片付け期間を付与する。施工管理の効率化に向けてはコンクリート施工管理要領を改定。品質基準を満たした製品は性能確認の省略などを認める。=4面に関連記事
対応方針の名称は「働き方改革及び工事円滑化に向けた取り組」。3社と日建連が協議してまとめた。時間外労働の是正が急務となる中、▽適正な工期設定▽書類作成の軽減▽施工管理の効率化・省力化▽設計図書の品質向上-に向けた各施策を3社が実施する。
適正工期の設定では、全発注工事で4週8休の確保を前提にした工期を設定する。既契約工事は契約を変更して対応する。受注者が設計図書を照査するのに必要な準備期間を30日、後片付け期間を60日付与する。
書類作成の軽減に向けては、受注者に対する過剰な資料作成依頼を抑制するためのルール制定、ポスターの掲示など意識徹底を図る。工事情報共有・保存システムに登録した書類の検索スピードを速めるなどシステムの機能強化にも乗り出す。
「企業にとって即効性がある」(業界関係者)のがコンクリの施工管理要領改定だ。3社が定めた品質基準をクリアした製品に限り、試し練りの省略を認める。定期管理試験を含む試験結果の提示頻度を減らして受注者の負担を和らげる。
手戻りの原因となる設計図書の照査体制を強化し、成果品の品質向上を図る。発注者と建設コンサルタントによる照査の機会を増やしたり、照査に必要な期間を60日に拡大したりする。
今後は雨天日や猛暑日を考慮した工期設定などの実現が可能かを検討する。施工管理の効率化に向け、コンクリだけでなく土木や舗装、構造物の各施工管理要領の改定も目指す。
日建連の押味至一副会長土木本部長は関係者に感謝の意を表しつつ、「導入を開始した施策のフォローアップと検討継続中の施策が導入されるよう議論を深める」とコメント。高速道路工事で働き方改革が「さらに大きく進展する」と期待した。

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