日建連/コスト上昇分転嫁へ下請取引適正化の行動計画改定、協議の場設置など

日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は下請取引適正化の自主行動計画を1年ぶりに改定した。労務費や資機材などの工事コスト上昇分が取引価格に転嫁されるよう、「合理的な請負代金と工期の決定」に関し元請が下請に配慮すべき事項を追記。元請は必要に応じ協力会社と協議する場を設ける。コスト上昇の根拠説明を求める場合、建設物価や積算資料のような公表データに基づき提示された価格を尊重する。1週間後に時間外労働上限規制の適用も迫る中、歴史的な物価高に負けない技能者の持続的な賃上げと働き方改革の両立を目指す。=2面に関連記事
2017年3月に初めて策定した同計画の改定は昨年3月以来3回目。国土交通省からの要請を受け対応した。同6月に国交省が改定した「建設業の法令順守ガイドライン」や、同11月に内閣官房と公正取引委員会がまとめた「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」などを反映した。
サプライチェーン(供給網)全体の取引も最適化。新たな基本的考え方として工事の受発注者間や元下間に限らず、資材業者や建設機械・仮設機械の賃貸業者、警備業者、運送事業者といった中小企業との取引でも、改定計画に基づく配慮を徹底する。
取引先との共存共栄を目指し、国と経済界が連携し創設した「パートナーシップ構築宣言」の枠組みも引き続き活用する。日建連が会員向けに作った宣言書のひな型では下請契約で労務費が適切に転嫁されるよう、内閣官房と公取委が作った指針などを参照するよう呼び掛けている。
日建連は25日に井上和幸総合企画委員長が国交省の塩見英之不動産・建設経済局長を訪ね、改定計画と会長名の要望書を提出。官民の工事発注者に対し適正な請負代金の設定や支払い条件、工期確保を強く働き掛けるよう求めた。
下請代金支払いの適正化に向け、紙に代わる決済手段として電子記録債権に移行する際の課題も指摘。中小企業への周知に加え、支払先と相手先で利用する電子債権記録機関が異なる場合に利用できないといった互換性の課題解決を挙げた。その上で関係省庁に働き掛けることを求めた。

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